国連、署名保管に限界 高校生平和大使の全168万筆  大使側、引き取り再利用検討

 高校生平和大使から核兵器廃絶を訴える署名を毎年受け取っているスイス・ジュネーブの国連欧州本部が、署名簿の保管スペースが限界に近づいていることを理由に、紙以外の形での提出と保管分の引き取りを平和大使側に要請していることが16日、分かった。
 提出済みの署名は昨年までの17年間で約168万筆に達している。平和大使派遣委員会の平野伸人共同代表(71)は「(署名は)普通、一定期間たてば処分される。全て保管してくれていただけでも破格の扱いだと思う」と国連側の厚意に感謝し、今後の対応を検討している。
 国連側の要請を受け、平和大使側は今後、署名簿を写真に撮って提出したり、引き取った署名簿を再生紙にして折り鶴を作り、署名の象徴として国連側に贈ったりすることを考えているという。
 平野さんによると、欧州本部側から「署名は永久保存する」と長年言われてきた。だが今春、外務省を通じて「署名を保管できなくなりつつある」と連絡が入った。
 国連側は取材に対し、平和大使について「軍縮のために若者の関与は不可欠。努力を称賛する」と評価。各種署名の提出は原則的に「事務スペースの見直しとペーパーレス化に伴いデジタル方式での提出を推奨している」という。
 平和大使は1998年に発足し、今年のノーベル平和賞候補に挙がっている。2001年から高校生1万人署名活動実行委員会が各地で集めた署名を欧州本部に届けており、一部は軍縮関連の常設展示コーナーに飾られている。今年は県内外から選出された20人が28日、約11万筆分を従来通り紙で提出する予定。
 平和大使は14年から3年連続でジュネーブ軍縮会議で演説したが、17年は中国などの反対で断念した。今年も演説の予定はなく、日本政府が27日に現地で開くレセプションに参加し、各国外交官らと意見交換する。

国連欧州本部の常設展示コーナーに展示されている高校生平和大使が提出した署名=ジュネーブ(国連提供)

© 株式会社長崎新聞社