金属行人(8月17日付)

 大方の鋼材二次流通・加工業はきのう16日までに夏季休暇を終え、盆休み明けの実商いを再開させたところだろう▼ここ2~3年、出るぞ出るぞと言われながらも肩透かしを食ってきた感の強い鉄鋼内需だが、この秋こそは市中にも本格的な需要の胎動が期待できるだけに、各社各様に鉄需到来に向けた「備え」に余念がないはずだ▼3年前に「今、足元は厳しい。でも先々必ず良くなる」ことを確信し、停滞期から着々と設備増強や営業拠点の拡充そして人材の確保・育成に力を入れてきた鋼材加工業。それ以前に比べて格段に大きくなった受け皿を今、目いっぱい広げて販売量を伸ばしている▼加工領域を深掘りし、下工程を拡充したところは、その分野では域内屈指の存在感を発揮するまでに成長した。3年かけて「特化」の道を選択した判断が実ったわけだ▼時流を捉え、それまでに取り扱ったことのない新たな鋼種に着目し、市場分析した上で一気呵成にボリュームを増やした結果、圏内でも指折りの存在となった販売店もある▼何か〝打って出る〟には入念な準備が要り、当然リスクも伴う。しかし虎穴に入らなければ虎子も得られない。今のほんの少しの「差」が、次の景気変動期に優勝劣敗を左右しかねないのではないか。

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