【病院中毒死】3人目の患者殺害容疑 元看護師を再逮捕へ

 横浜市神奈川区の旧大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年9月に起きた点滴殺人事件で、殺人容疑で逮捕、送検された同院の元看護師久保木愛弓容疑者(31)が別の入院患者の女性=当時(78)=を殺害した疑いが強まったとして、神奈川県警神奈川署特別捜査本部が18日にも、同容疑で再逮捕する方針を固めたことが17日、捜査関係者への取材で分かった。殺人容疑での逮捕は3回目。同容疑者は、女性殺害について関与を認めているという。

 捜査関係者によると、女性は転倒による足のけがで16年9月に同院に入院。容体が急変して間もなく、同16日午後1時40分ごろに死亡が確認された。同容疑者は、勤務日だった同15日に女性に投与予定だった未使用の点滴袋に消毒液を混入し、殺害した疑いが持たれている。同容疑者は同日午後に退勤したといい、点滴袋は事情を知らない別の看護師が交換したという。

 女性は、医師により病死と判断され、遺体は一連の事件の発覚前に火葬された。しかし、特捜本部は死亡の経緯に不自然な点があるなどとして捜査。保管されていた女性の血液を鑑定した結果、消毒液に含まれる殺菌作用の強い界面活性剤の成分が検出されたことから、事件の可能性が浮上した。

 同容疑者は7月に、入院していた88歳の男性患者2人に対する殺人容疑で逮捕、送検された。特捜本部の調べに対し、2人の殺害を認め、他にも複数の患者の体内に消毒液を混入させたことをほのめかしたことから、特捜本部が捜査を進めていた。同院に入院していた別の男性=同(89)=の遺体からも界面剤の成分が検出されており、特捜本部が関連を調べている。

 同容疑者は動機を「患者の死亡について遺族に説明するのが不安だった」などと供述。特捜本部は、同容疑者が遺族への説明を避けるため、自身の勤務時間外に患者を死亡させる目的があったとみている。

横浜市神奈川区の旧大口病院(現横浜はじめ病院)

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