長崎の2社(タナカヤ、ジョイフルサンアルファ)が地域商社へ 市が補助、専門家サポート

 婦人服販売のタナカヤ(長崎市)とスーパー運営のジョイフルサンアルファ(同)は、小規模・零細事業者の営業代行や商品開発支援をする「地域商社」を目指す。市が事業費を補助し、軌道に乗るよう専門家のサポートも提供する。このうちタナカヤは10月、東京に店舗をオープンさせ、県産品の情報発信や販路拡大につなげる。
 単独ではマーケティングや販路開拓が難しい小規模・零細事業者が多いことから、市は、こうした事業者の営業を代行しコンサルティング機能も担える地域商社の育成を新規事業化した。財源には、内閣府の地方創生推進交付金も活用。公募に応じた4社の中から両社を選定した。
 市商工振興課によると、本年度から3年間、それぞれ1375万円を上限に補助する。全国で企業支援実績がある「ただいま」(東京)をアドバイザーとして委託。成長が見込める事業者の発掘や市場ニーズの把握など地域商社に必要なノウハウを両社に取得してもらう。市は食品加工を中心に地元事業者に対し、地域商社の活用を呼び掛ける。
 タナカヤは2015年、日本百貨店(東京)と共同で、全国の伝統工芸品や菓子、雑貨などを扱う「ながさき百貨店」を長崎市浜町の本店内に開業。この連携をさらに深め、秋葉原駅に近い「日本百貨店しょくひんかん」内にイートインやテークアウトもできる店舗を開く。親和銀行(佐世保市)も事業者とのマッチングなどで支える。
 タナカヤの田中直高取締役(37)は「将来の地域商社化を想定し『ながさき百貨店』を開店した。これを核に、長崎の優れたものを日本全国に広げたい」と話す。
 市内に「ジョイフルサン」10店舗を展開しているジョイフルサンアルファは、総合不動産業の穴吹興産(高松市)のグループ力を生かす。「『食』だけでなく『住』の面も組み合わせてシナジー(相乗)効果を生みだし、地域に貢献したい」としている。

長崎市が求める地域商社

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