社説(8/18):スポーツ団体不祥事/外部からチェックが必要だ

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 スポーツ界で不祥事が相次いでいる。今度は、全日本剣道連盟の居合道の昇段試験を巡って、審査員らに受験者から多額の現金が渡っていた事実が明らかになった。こうした不正行為は長年にわたる慣習だったという。

 伝統の武道においてさえ不正が横行していた腐敗した実態には、開いた口がふさがらない。スポーツ庁の鈴木大地長官は17日、「同様に段位を持つスポーツについても調べるよう指示した」と語ったが、当然だろう。

 2020年東京五輪・パラリンピックが迫る。クリーンな五輪実現に向けて、競技団体でコンプライアンス(法令順守)やガバナンス(組織統治)が機能しているのかどうか、外部からチェックする仕組みの導入も検討するべきだろう。

 日本レスリング協会のパワーハラスメント、日本大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題、日本ボクシング連盟の不正疑惑。共通するのは、権限と影響力を持つ一部の者が独裁的に組織を支配する封建的な体質である。

 不正疑惑に揺れた日本ボクシング連盟では、終身会長として君臨してきた山根明氏が辞任。さらに関西連盟と奈良県連盟の役員、会員も退くことが分かった。山根氏は対象外の選手への助成金流用を認めたが、不正の認識はなかったと釈明している。

 告発された疑惑は山根氏の辞任で解明されたわけではない。真相を究明するために第三者委員会が設置される予定だが、中立性の観点からも日本オリンピック委員会(JOC)などが主導して調査を行うのが望ましい。

 日大アメフット部の不祥事も独裁体制が温床になったという構造は似通っている。内田正人前監督が絶対的な権限を持ち、反則行為の指示に選手は従うほかはなかった。

 日大理事らは危険タックルをした選手に口止め工作をしていた。その背景には、内田氏が人事担当の常務理事として理事会を牛耳り、チェック体制が機能不全だったことがある。そんな体制を容認してきた理事長の組織統治の欠如も問題視された。

 日本レスリング協会で発覚したパワーハラスメント問題でも、組織内で相互の監視機能が働いていなかった。

 勝敗を争うスポーツ界では上意下達の体質が生まれやすいとされる。問題が発覚すると隠蔽(いんぺい)を図るケースも目に付き、組織の自浄作用は働きにくい。こうした旧態依然とした体質を引きずる団体は、他にもあるのではないかと疑われる。

 五輪の開催を控えて、スポーツ団体の運営には国民から極めて厳しい視線が注がれている。スポーツ界を挙げて組織統治や法令順守の強化が求められよう。JOCやスポーツ庁はどのように改革を推し進めていくのか。具体的な議論に入ってもらいたい。