諫干和解基金 盛り込まず 農水省 2019年度概算要求で方針

 国営諫早湾干拓事業の開門問題で、農林水産省は2019年度予算の概算要求に、開門せずに有明海再生事業で和解するための基金経費100億円を盛り込まない方針で検討していることが17日、分かった。
 国は基金での和解を目指しているが、開門派との間で基金の受け入れに対する合意が得られていないためとみられる。
 農水省は昨年4月、開門差し止めを国に命じた長崎地裁判決を控訴せずに「開門せずに基金で和解を目指す」と表明。これを受け、18年度は概算要求に基金経費として100億円を盛り込んだが、和解の見通しが立っていないことを理由に予算計上を見送った経緯がある。
 開門問題を巡り、福岡高裁は「開門せず国の基金案で解決を図る」と和解案を勧告したが、開門派が反発し、今年5月に和解協議が決裂。高裁は7月、漁業者の開門確定判決を事実上無効にする判決を出し、開門派は最高裁に上告した。
 斎藤健農相は今月3日の会見で「開門によらない基金による和解を目指し、必要な予算に適宜対応する」と述べており、和解の方針は変えていない。

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