熊本地震 舞台通じ、生きる勇気を 旗揚げ演目初披露へ 在熊の劇団「大帝ポペ」

©株式会社熊本日日新聞社

広告を表示できません。

9月の公演に向けて稽古に励むと井上ゴムさん(右)と、はまもとゆうかさん=熊本市中央区

 熊本地震の影響で地元熊本での旗揚げ公演がかなわなかった劇団「大帝ポペ」が9月、上演するはずだった演目を熊本市で披露する。演出家で自らも出演する井上ゴムさん(39)=御船町小坂=は「地震は多くの悲しみをもたらした。観客に生きる勇気を与える舞台にしたい」と張り切っている。

 小さい頃から映画好きで、大学時代に演劇の世界に入った。2015年8月に在熊の若手役者と劇団を結成。旗揚げ公演まで1カ月余となった16年4月、熊本地震に襲われた。

 両親と暮らす自宅は2度の激震に耐え、3人とも無事だった。しかし、一帯には、倒壊した家屋が広がるなど光景は一変。20年近く飼っていた井上さんの愛犬は体調を崩して死んだ。「命は簡単に消えてしまうんだな、と実感した。地震で悲しい思いをした人は少なくない」

 旗揚げ公演を予定していた熊本市東区の健軍商店街のギャラリーも被災。福岡市のホールに急きょ会場を変更し、中止だけは免れた。ただ、旗揚げできた喜びよりも、地元で上演できなかった悔しさのほうが大きかった。井上さんは「時機をみて必ず熊本で上演する」と誓った。

 劇団として3回目の公演となる今回、旗揚げ公演と同じ演目「ふたりはぼっちで」を選んだ。孤独を抱えた中年の男性ラッパーと、彼の自宅に住みついた謎の女が登場する二人芝居。器用に生きられない男女が、もがきながら未来に進むさまを、四つの物語でつづるオムニバス形式だ。

 「人間のだめさ、どうしようもなさを認め、それでも『生きるって美しい』というメッセージがある。ゴムさんらしい物語」。劇団代表のはまもとゆうかさん(21)=熊本市=は、そう解説する。

 地震後、県外から熊本に戻って来る友人が相次いだ。「生活の拠点を変えてまで古里を支えようとする友人がいる」と井上さん。自分もそうした人々に支えられ、救われていることに気付かされたという。

 舞台は愛と喪失と再生がテーマ。井上さんは「地震の悲しみを経験した人々の思いとも重なる。演技や演出を磨き、良いものを残したい」と力を込める。(國崎千晶)

 ※「ふたりはぼっちで」は9月1、2日、熊本市男女共同参画センターはあもにいで。井上さんTEL070(3539)5655。

(2018年8月18日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

Follow us!

熊本日日新聞

こんなニュースも

紙面を彩った火の国球児たち

「夏の甲子園100回」を記念し、熊本出身のスターたちの〝球児〟時代を取り上げます。 第3弾は「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治(熊本工出、人吉市出身)です。

ご購入はこちらから

Curated by

Curated by