絶滅危惧種「ツシマウラボシシジミ」保護しよう  ケヤブハギの苗100株植栽

 環境問題などを学んでいる長崎県立対馬高ユネスコスクール部(29人)の生徒らが、対馬市北部にだけ生息している絶滅危惧種のチョウ「ツシマウラボシシジミ」を保護しようと、餌となるケヤブハギの苗約100株をこのほど、生息地に植えた。
 ツシマウラボシシジミは体長約1センチで、林の中などに生息。羽裏面の黒い円紋が特徴で、かつては対馬北部に広く分布していたが、標本目的の乱獲や、餌となる植物のシカ食害を受け、ごく限られた地域でしか見られなくなっている。幼虫はケヤブハギの葉などを食べ、成虫はハエドクソウの花の蜜などを吸う。
 本年度発足した同部は4月からケヤブハギを種から育て、植栽には部員8人と、同校科学部の2人が参加。市が、市北部の山中に設けたツシマウラボシシジミ保護区(約1500平方メートル)に、高さ15センチほどに育った苗を地元住民らとともに植えた。
 シカ防護柵に囲われた保護区内ではケヤブハギの枝先にいる幼虫や、林の中を飛び回り、ハエドクソウの蜜を吸う成虫も観察。ユネスコ部の小島希絵部長(18)=3年=は「飛ぶ姿がきれい。小さな命を守る手伝いができてうれしい」と笑顔を見せた。
 同校は、地球規模の問題に対応できる若者を育てようと、国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部が認定している「ユネスコスクール」に2015年、県内で初めて認定されている。

ケヤブハギの苗を植える生徒ら=対馬市北部の山中
ハエドクソウの花に止まったツシマウラボシシジミ=対馬市北部の山林

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