小舟浮かべ航海安全祈願 「カンカン祭り」対馬・豆酘

 対馬市厳原町豆酘(つつ)地区で18日、伝統行事「カンカン祭り」があり、地元住民が紅白2隻の小舟の模型を海に浮かべ、航海安全や地域の安寧を祈願した。
 祭りは古代、朝鮮出兵で来島したとされる神功皇后が豆酘に立ち寄り、舟で朝鮮半島に渡ったとの伝説にちなむ。「カンカン」は小舟を海に流す祭列の太鼓やかねの音が由来で、海に浮かべるのは、疫病や悪霊などを遠くに離す意味が込められているという。
 住民ら約20人が豆酘の多久頭魂(たくずだま)神社の観音堂に集合。長さ約50センチの板と竹ひごで骨組みをつくり、紅白の布を張って2隻の古代舟の模型を仕立てた。その後、観音堂で祈願。笛やほら貝、銅鑼(どら)を鳴らしながら神功皇后が出港したと伝わる海岸までの約1キロを練り歩き、紅白の小舟の模型を海に浮かべ、海岸にある小松崎神社に奉納した。
 白舟を担いで練り歩いた一本釣り漁師、川上清次さん(69)は「近年は不漁続きだが、漁の結果は自分の努力次第。人知を超えた海の事故が起きないようにとだけ願った」と話した。

航海の安全を祈り、紅白の小舟の模型を海に浮かべる豆酘地区の住民=対馬市

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