【野球U-15W杯】日本が機動力生かせず米国に敗れ3位決定戦へ 清水監督「うまく発揮できず」

米国に逆転負けを喫したU-15日本代表【写真:Getty Images】

平均身長10センチ、平均体重は12キロも勝る米国がパワー全開

 パナマで開催されている野球の15歳以下の世界一を決める「第4回WBSC U-15ワールドカップ」のスーパーラウンド最終戦となる第3戦が18日(日本時間19日)行われ、日本は2ー8で米国に逆転負けを喫し、決勝進出を逃した。日本はオープニングラウンドの結果を加え、スーパーラウンドを2勝3敗で終了。19日(同20日)の決勝戦は米国対パナマとなり、日本は台湾との3位決定戦に回ることになった。

 投手戦となった序盤。先制点を奪ったのは日本だった。初回、相手先発は制球が定まらず、3四死球でもらった2死満塁のチャンスで、「6番・一塁」の城下拡捕手(串木野ドリームズ)が押し出しの四球。欲しかった先制点をつかむと、4回には1死満塁から1番・花田旭外野手(西淀ボーイズ)の右翼への犠飛で2点目を追加した。だが、長身選手を多く揃え、パワーで勝る米国打線を日本投手陣が抑えることはできなかった。

 3回まで無安打で好投を続けていた先発左腕、金井慎之介投手(東京城南ボーイズ)が4回、先頭の2番打者に右越えソロを浴び、1点差に迫られると、1死一、二塁のピンチで5番打者に左中間を破る逆転2点適時二塁打を献上。ともに甘く入ったボールを見事に捉えられた。日本は5回にも1点を失うと、6回にも2本の長打などで4失点。6点差をつけられ、万事休すとなった。

 体格差を跳ね返すことができなかった。米国は選手20人の平均身長184センチ、平均体重81キロ。日本は平均身長174センチ、平均体重69キロ。この日、日本の安打はわずか2本で、身長10センチ、体重12キロの差は、両チームのパワーの差にも反映された。2試合ぶりに先発した坂玲哉捕手(湖南ボーイズ)は「1球の甘いボールをしっかり振られて長打にされた。あの本塁打だけは悔いが残る。飛ばす力はさすがだと思った。攻撃面でもチャンスを生かしきれなかった。もっとできたんじゃないかと思う」と、不完全燃焼に終わった試合を悔しがった。

日本を見舞った2つのアクシデント、主将・池田が頭部死球で途中退場

 清水隆行監督は「序盤はいい形で先制できたが、その後、跳ね返されてしまった。何とかロースコアでという思いではいたが、なかなか凌ぎ切ることができなかった」。現時点での日米の差については「体格やパワーは米国の方が上だと思うが、日本にはスピードや小技がある」と言い、「ただ、今日はそれをうまく発揮できなかった」と、持ち前の日本の機動力野球を展開できなかったことを敗因に挙げた。

 2つのハプニングにも見舞われた。この日、日本はビジター。紺色のセカンドユニホームを着用予定だったが、前日のナイターで使ったユニホームはランドリーに出された後、当初予定されていた時間になってもチーム宿舎には届かず。その数時間後、遅れて届いたユニホームはズボンが乾いておらず、上着も畳まれていないためしわくちゃのものばかり。結果、米国が白のユニホームを着用する中、日本は急遽ホーム用の同じ白色のユニホーム着用に変更することに。チームスタッフは試合前から大会本部との対応に追われた。

 さらに試合中には、左翼を守る池田陵真捕手が3回の打席で頭部に死球を受け、救急車で病院に運ばれる事態に。幸い、大事には至らなかったが、4番の主将を途中から欠くという不利な展開を強いられた。坂は「何とかして陵真を決勝の舞台に立たせてあげたかった。それができなくて悔しい。明日は代表として皆でできる最後の試合なので、自分たちの野球をしっかり見せたい」と、唇を噛みしめた。

 勝てば決勝進出のチャンスも十分にあった。この日の第1試合でキューバが台湾に5-8で敗戦。第2試合が米国対日本、第3試合がパナマ対ドミニカ共和国のスケジュールで、第1試合の結果を受け、日本勝ち&パナマ勝ち、もしくは日本の4点差以上での勝ち(日本が7失点以上した場合は5点差以上での勝ち)&パナマ負けの場合、日本はパナマとの決勝に進出することができた。だが、米国に敗れたことで決勝進出は自動的に消滅。大会初優勝の目標を達成することはできなかった。

 なお、スーパーラウンドを終えての成績は以下の通り。2勝3敗の3チームは当該対戦成績でもそれぞれ1勝1敗で並んだが、得失点率で日本と台湾の3位決定戦進出が決まった。

米国 4勝1敗
パナマ 4勝1敗
日本 2勝3敗
台湾 2勝3敗
キューバ 2勝3敗
ドミニカ共和国 1勝4敗(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

© 株式会社Creative2