WRCドイチェランド:タナクがリード拡大でトヨタ連勝に王手。ラトバラも表彰台圏内の走り

 WRC世界ラリー選手権第9戦ドイチェランドは8月18日、SS8〜SS15が行われ、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が43.7秒までリードを拡大。第8戦フィンランドからの連勝、そしてトヨタのWRC復帰後初のターマック(舗装路)戦制覇に王手をかけた。

 ラリー・ドイチェランドの競技3日目はサービスパーク近郊にあるバウムホルダー軍事演習場の特設ステージなどを中心に計8SSで争われた。

競技3日目は軍事演習場内のステージが舞台。道路脇には廃棄された戦車の姿も

 この日のステージは路面が荒れておりタイヤへの攻撃性が高く、ドライバーにはタイヤマネジメント能力が求められたほか、アスファルト舗装とコンクリート舗装が入り混じる場所もあり、舗装により変化するグリップレベルへの対処力も求められた。

 木曜日の競技初日にトップに立ち、金曜日の競技2日目には6SS中5SSを制する圧倒ぶりをみせたタナク。この日はステージ優勝こそ飾らなかったが、トップの座を守り続けた。

 一方、前日12.3秒差でタナクを追っていた総合2番手のセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)は、首位と13.6秒差で挑んだ38.57kmのSS13走行中にタイヤがパンク。タイヤ交換にタイムを要し、総合9番手までポジションを落としてしまった。

SS13でパンクに見舞われたセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)

「何が起きたかまったく分からない。いつもとおなじラインを走っていたんだ」とオジエ。

「どこに潜んでいるか分からない岩を当てる宝くじを引いてしまったようなものだ。(シリーズ6連覇に向けて)正直、いい流れとは言えないね」

■トヨタのラトバラ、0.8秒差で総合2位争う

 総合2番手だったオジエが後退したことで、タナクは一気にリードを43.7秒まで広げて、シーズン3勝目に近づいた。

 タナクは「今日はセブ(セバスチャン・オジエ)と数多くのバトルを繰り広げた。全力でプッシュしたけど、特に午前中はマシンのフィーリングが悪くて苦労したよ」とコメントする。

「だから、朝は厳しい戦いだったね。(競技3日目のステージは)昨日とはまったくキャラクターが異なることはわかっていた」

「(今年トヨタに移籍した)僕にとっては新しいことだらけでアジャストするのに苦労したし、アンダーステアがひどかったよ」

 オジエに変わって総合2番手に浮上したのは、3SSでトップタイムをマークしたダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)。そのソルドとわずか0.8秒差の総合3番手にはヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が続いている。

 総合4番手はポイントリーダーのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)、総合5番手にはエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)がつけており、トヨタは3台全車がトップ5圏内だ。

 競技最終日となる19日(日)はSS16〜18の3SSで争われる。

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