大黒、音響族・ネオン族の「聖地」に 県警・首都高が対策

 横浜市鶴見区の首都高速湾岸線の大黒パーキングエリア(PA)に集まる「音響族」や「ネオン族」などの迷惑車両を減らそうと、神奈川県警高速隊と首都高速道路会社(東京都)がPAの夜間時間帯の閉鎖や合同取り締まりなどの対策を粘り強く進めている。区画レイアウトの見直し効果などで、迷惑車両は減少しているが、ロケーションの良さもあって、自身の車を誇示しようとするカーマニアにとって同PAが「聖地」になっている事情は変わらない。「誰もが安心して使用できるPA」(高速隊)への模索が続いている。

 車内の大型スピーカーから大きな音を響かせる「音響族」、きらびやかな照明を装備した「ネオン族」-。週末の夜になると、大黒PAにはどこからともなく、こうした迷惑車両が集まり、まるで競うように改造車両の存在をアピールする。県外ナンバーも少なくない。

 車の改造と搭載する音響機器に数百万円を投じたという都内の男性(40)は重低音を響かせながら「騒ぎたいというより、自分の好きな音楽を聴きたいだけ」とうそぶく。県警などが対策を進めていると知りつつも「別にいいじゃん」と回りの迷惑を顧みる様子はない。

 こうした迷惑車両を見物しようと集まるギャラリーもおり、愛知県から駆け付けた女性は「いろんな車があって楽しい」と話す。ただ、一般の利用客にとっては迷惑以外の何物でもない。

 高速隊によると、仮眠を取ろうとするドライバーらからの騒音苦情のほか、福祉車両の駐車スペースを占拠するなど、迷惑行為の通報が寄せられる。怪しげなネオンが不安で、トイレや売店を利用しづらいとの声もあるという。PAの売店関係者は「迷惑車両のせいで、一時的とはいえ、夜間時間帯にPAが閉鎖されるのは営業的にもマイナス」と話す。

 当時の首都高速道路公団は県警などと協力して2005年までに、駐車区画に車止めブロックを設置したり、車路と交差している歩行者通路に段差を設けたりする改良工事を完了。レイアウトを変更して逆走しにくい構造にもした。この結果、見物しにくくなり、迷惑車両は減少したという。

 ただ、長時間にわたり駐車場を占拠し、大音量や照明を誇示する迷惑車両の一掃には至っておらず、高速隊などは昨年末から対策を本格化。迷惑車両の集合自体を未然防止することを主眼に、毎週末の夜間帯にPAを一時的に閉鎖する措置を取っている。

 6月には関東運輸局と合同で不正改造車の取り締まりも実施。道路運送車両法の保安基準に基づき、騒音防止装置などの不適合があった場合は整備命令を出している。高速隊は「摘発と予防を効果的に進め、迷惑車両がはびこらないようにする」としている。

きらびやかな照明の車両に集まるギャラリー=横浜市鶴見区の首都高速湾岸線大黒パーキングエリア

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