【病院中毒死】容体急変に違和感 3人目の容疑固めた県警

 横浜市神奈川区の旧大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年9月に起きた点滴殺人事件で、入院中に死亡した女性=当時(78)=の診療記録などを県警の要請で精査した外部の医師が、容体急変の経緯が不自然だと指摘していたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。医師の指摘後、保管されていた女性の血液から消毒液に含まれる界面活性剤の成分が検出された。神奈川県警はこうした経緯を踏まえ、女性が人為的に消毒液を体内に混入されて殺害されたとの見方を強めたとみられる。

 県警は18日、女性に投与予定だった未使用の点滴袋に消毒液を混入させて殺害したとして、同院の元看護師久保木愛弓容疑者(31)を殺人容疑で再逮捕した。

 捜査関係者によると、県警は事件発覚後、16年9月以前に同院4階で死亡した複数の入院患者について、同院以外の医師にカルテなどを示して意見を求めた。その結果、女性の死亡の経緯に関し、不審な点があるとの指摘があった。女性は容体急変前まで1人で歩くなど元気な様子だったといい、同院の関係者からも、死亡の経緯をいぶかる声があったという。

 女性の死因は多臓器不全とされ、遺体はすでに火葬されていたが、血液が保管されており、鑑定で殺菌作用の強い界面剤の成分を検出。県警は、死因が界面剤に起因する可能性があるとの専門家の見解や、関与を認める同容疑者の供述などから逮捕に踏み切った。

 同容疑者は今年7月、同院に入院していた男性2人=ともに当時(88)=の体内に消毒液を混入させて中毒死させたとして、殺人容疑で逮捕、送検されていた。

 横浜市神奈川区の旧大口病院(現横浜はじめ病院)

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