『Planet Football』は12日、「マウリシオ・ポチェッティーノ監督を表す13の言葉」という記事を掲載した。
2013年夏にエスパニョールからサウサンプトンにやってきたポチェッティーノ。2年後にトッテナムへ移り、チームをTOP6の常連に引き上げることに成功した。
世界屈指の名監督と呼ばれるようになった彼の哲学とは?
アルゼンチンの記者マルティン・マスルの談
ニューウェルス・オールドボーイズの下部組織で育ったポチェッティーノ。マルセロ・ビエルサ監督によってプロデビューを果たす。
「一部の選手は、スパイクを脱ごうかという時が近づいた時に『監督になりたい』と気付く。
しかしマウリシオ・ポチェッティーノに関して言えば、キャリアの最初の日から監督のようなものだった。
ニューウェルス時代、彼はマーキングに責任を持つキープレーヤーだった。しかし、彼の仕事はピッチ上のことだけではなかった。
マルセロ・ビエルサ監督は彼だけでなく若い選手に命令していたんだ。戦術的な仕事をね。
ビエルサはしばしばポチェッティーノに対戦相手の戦術のスカウティングをするよう頼んでいた。そしてその情報を期待していた。
その時の選手の18名中15名が後に監督になったのは驚きではないよね」
マウリシオ・ポチェッティーノ本人の談
「キャリアの中盤にある時には、選手は哲学について考えることはない。子供がサッカーをしているときもね。ただシュートを撃ち、パスを出し、失点を防ぐことが好きなものだ。
ところが突然、何かが変わったと感じる時が来るのだ。少なくとも、私の心は変化した。
全員に訪れるのかどうかは分からない。しかし27~8歳の時、私は違った形で物事を見るようになったんだ。チームをマネージメントするための技術、監督としての人生、そのあらゆるものに関心を持った。
それはキャリアに影響を与えた。なぜなら、もはやこれ以上ピュアな自分ではいられないからだ。心を開いてはいられないからだ。
これは、自分のキャリアが下降し始めていることの兆候だったね」
ビエルサの片腕だったクラウディオ・ビバスの談
「ビエルサはいつもポチェッティーノを基準点にしていた。私はそう確信しているよ。
ポチェッティーノは2008年に引退した後、トゥーロン国際大会でビエルサのスタッフになり、新しい世代の選手と働いた。
そこで彼はビエルサのメソッドを見ることができた。自分が監督になる直前にね。
私はポチェッティーノのトッテナムが好きだよ。アグレッシブで、効果的で、上手くボールを扱い、小さなスペースでプレスをかける準備ができている。
トッテナムはこの種のサッカーを代表するチームだ。速いスピードでのプレーと、組織的なプレッシングの定義がある。
時に人々は『ポチェッティーノは冷静すぎる』と言う。しかし、彼の体には激しい情熱を秘めていると確信できる。
彼はいつだって外から見ると落ち着いていたからね。17歳でプロ選手になったときからそうだった。
しかし、その気質が選手たちとの親密な関係を作らせているんだ。選手たちがどれほど彼を信じているか、彼のアイデアにどう反応しているかを見られるはずだよ。
私がマルセロ・ビエルサとともにアスレティック・ビルバオで働いていたとき、ポチェッティーノのエスパニョールにはいつも負けていた。
トッテナムのチームにも、その強い関係性は明らかに見て取れるよ。あの時と同じものがね」
エスパニョールのレポーター、ヘルマン・ボナの談
「エスパニョール時代から際立っていたものを述べるとすれば、クラブ全てをコントロールした方法だったね。
彼は細かい点をいろいろと変えていった。選手が何を食べたのか、いつ、どれだけプレーしたのか。他の監督が気づいていなかったことをね。
彼は全ての面でリーダーだった。人々は彼の声に耳を傾け、信頼した。それを見ることができたと思うよ。
朝早くにやってきて、夜遅くになってから帰る。これはスペインのサッカーでは普通のことじゃない。
彼はまるで時計のように機能するチームを求めている。パーフェクトにね。選手だけでなく、チームを取り巻く全てのこと…メディカルスタッフ、アシスタントコーチ、クラブ関係者まで」
ポチェッティーノ、サウサンプトン就任時のコメント
「私は、サッカーなしでは生きていけない男なんだ。
練習場で1日12時間を費やしている。基本的に、私の人生はホテルから練習場に行くことしかない。
私はこのクラブのために全身全霊を捧げる。サッカーにおいてはタイムテーブルなど存在しない。一日中働くのだ。これを仕事だと感じていない。このクラブは情熱である」
アダム・ララーナの談
「彼はワールドクラスの男だよ。監督としてだけではなく、一人の人間としてだ。
選手に対してのマンマネージメントの方法を持っている。彼は我々を気分よくさせてくれるんだ。そのメソッドを備えていて、とても冷静な男だ」
モルガン・シュナイデルリンの談
「マウリシオ・ポチェッティーノは、サッカーの見方、自分自身の捉え方など、自分の考え方を変えてくれた人物だ。
サウサンプトンにいた時、誰もが彼を愛していたよ。皆今もポチェッティーノが好きだし、まだいい関係を保っている。
トッテナムで彼が監督としてやったことは、本当に素晴らしいね。
ポチェッティーノがタイトルを取れることを願っているよ。今季でなくても、数年間で獲得できるだろうと確信しているよ。
なぜなら、トッテナムのプレーを見ている時には『ワオ、すごく面白いな』と言っちゃうからね」
ジャック・コークの談
「マウリシオ・ポチェッティーノがサウサンプトンにやってきた時、物事がすぐに落ち着いたんだ。
我々は若いチームだったが、彼が自信を与えてくれた。そして彼のメッセージは、『いつも自分たちのサッカーを楽しめ』ということだった。
彼はアイデアに満ちている。我々はプレシーズンツアーでスペインに行き、特殊な練習でチームの連動性を構築した。
また、常に多くのランニングとトレーニングがあった。とても厳しいものだったよ。ポチェッティーノの方針でプレーするには心臓が2つ必要になる。
ケルヴィン・デイヴィスは一回ドレッシングルームから時計を持ち出してきて、セッションがどれだけ長いかを彼に伝えようとしていたよ!
しかし、そのメソッドはうまくいった。2013-14シーズンは、最初の11試合で1回しか負けなかったんだ」
ポチェッティーノ、アデバヨールが退団を希望した時
「私はいかなる選手にもプレー機会を保証したことはない。
選手として契約する時、理解しなければならないことがある。プレーするために契約したのではなく、練習するために契約したのだと。
それから、監督かヘッドコーチが選手を選ぶ。それがサッカーというものだ」
ポチェッティーノの本を書いたギジェム・バラグの談
「ポチェッティーノの鍵は、情熱的なスピーチでスポーツに対する愛を燃え上がらせるペップトークだ。
そのような話の後、反応は瞬時に起こる。サッカーは仕事ではなく、愛するものだと思い出させる。選手は自分の良心に入り込み、過去のある時点に戻る。それは奇跡的な効果をもたらす」
解説者ギャリー・ネヴィルの談
「私はイングランド代表のコーチとして働いていた。トッテナムの選手がキャンプにやってきた時、心理的な点に違いがあることに気づいた。
彼らは戦う準備ができている。プレーする準備ができている。働く準備ができている。ミーティングにも積極的に参加したいように見えた。
責任がある選手たちに期待したいものの全てがそこにあった。ポチェッティーノは、若い選手たちに自分自身を表現するための自信を与えてくれたようだ」
デル・アリの談
トッテナムで指導を受けているデル・アリは、スティーヴン・ジェラードによるインタビューで以下のように話した。
「彼がこのクラブでやってきたことは、誰から見てもわかるだろう。真実を話してくれる監督ほど信頼できるものはない。
ポチェッティーノは試合でのプレーについて話す。自分が見るよりも先に、彼はそれを見ていて、その上で引き込んでくる。それは、僕が彼を尊敬する理由、愛する理由の主なものだよ。
必ずしもポジティブなものばかりではないけどね。練習で十分に努力していなければ、彼はそれも指摘する。練習は試合と同じくらい重要なものだ」
ポチェッティーノ、自身のスタイルについて
「あらゆる指導者とスタッフが自分のスタイルを持っているものだ。重要なのは、それぞれのやり方を一貫させるという点だよ。
スタイルを信じていなければ、それで笑顔になれないならば、サッカーに満足できないのならば、その形でプレーすることはできないんだ。
物事はいつだって変えられる。しかし最も重要なのは、自分の方法を失わないことだ。
サッカーというのは幸せを、楽しみを、そして感情を生むものだ。我々は毎分毎秒心を震わされているのだ」