社説(8/20):来年度予算編成/歳出改革の覚悟が問われる

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 5年ぶりの消費税率引き上げの年に向かって、政府の2019年度予算編成が進んでいる。厳しい財政事情の下で、安倍政権の覚悟が問われる作業となろう。

 概算要求基準によると、6年連続で歳出額に上限を設けなかった。防衛、災害対応などの懸案を抱え、歳出増の要因は数多い。当初ベースで初めて100兆円台に乗る大型予算になる可能性もある。

 各省庁の概算要求締め切りは8月末。膨張しがちの要求をどう査定し歳出改革に取り組むかが最大の焦点になる。

 政府は6月に財政健全化の達成目標を先延ばししたばかりだ。財務省は政府全体の財政規律を緩ませることなく、借金に頼らない堅実な予算編成方針を貫いてほしい。

 要求基準では、人材育成や成長戦略に関する事業を対象にした「優先課題推進枠」を約1割増やし、4兆4000億円程度に拡充した。公共事業費や人件費などを削減し充てる方針で、めりはりのある予算を目指す。増額する以上文字通り優先度の洗い直しなど確実な見極めが必須だ。

 今夏の豪雨災害を背景に治水関連の要求も予想される。人命への関わりや緊急度を踏まえ適切に判断すべきだ。

 歳出の3分の1を占める年金・医療など社会保障費にどう切り込むかも課題だ。

 高齢化に伴う自然増は6000億円。財務省はこの分は容認しつつも、支出の工夫や効率化で実際の伸びを極力抑える方針だ。16~18年度は「3カ年で1兆5000億円」の目安を設けたが、今回は数値目標を見送った。

 来年夏には参院選があり、与党から抑制への逆風が吹き始めている。支出増に歯止めが掛かるかどうかは微妙だ。本人負担増の問題を含め、社会保障費の在り方を問う上でも正念場と言えそうだ。

 19年度予算ですでに明確になっている歳出増要因は、消費税率引き上げに伴う景気対策費。需要落ち込みに対応する。概算要求とは別枠での編成になるが、当初予算での計上に変わりはない。

 5%から8%に増税した14年の景気対策(5兆5000億円)を念頭に、数兆円規模になるとの見方がある。

 増税分の税収約5兆円のうち仮に半分が景気対策に回り、あとの半分は教育無償化の財源になるとすれば、借金返済に充てるはずだった資金はそっくりなくなる。これではいつになっても財政健全化は進まないのではないか。

 前回は、増税前の駆け込み需要の反動で予想以上に景気が低迷した。その教訓から準備を急ぐが、景気の風向きや消費マインドを的確に捉えて取り組まないと、単なるばらまきに終わりかねない。

 好調な国の税収をどう効果的に使うかは、政権の手綱さばき次第だ。歳出にばかり目が行き過ぎ財政再建を怠ると、いずれ国民がつけを払わされることになる。