商業建築の空調設備配管管種選定、SGPが圧倒的シェア IDE研究所・井出代表が分析

 配管システムの研究や防食鋼管のマーケティング、普及活動を行うIDE研究所の井出浩司代表はこのほど、百貨店やスーパーマーケットなど商業建築の空調設備配管における管種選定動向について分析した。ほとんどの配管分野で、配管用炭素鋼鋼管(SGP)が依然として圧倒的シェアを維持している。

 基礎資料は2017建設設備情報年鑑に掲載されている竣工設備データ。全11種の用途分野があり、今回の調査対象件数は117件だった。

 各分野のSGP(白管・黒管)選定動向は別表の通り。冷房ドレン管と冷媒管以外の9項目でSGPが最も使用されていることが明らかとなった。冷房ドレン管は硬質塩化ビニル管が46・8%で最多。冷媒管は冷媒用被覆銅管が9割以上(91・8%)を占めている。

 SGP以外では、圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)が温水管(6・7%)、蒸気管(50%)などで使用されている。また、一般配管用ステンレス鋼管は冷水管(5・6%)、温水管(6・7%)で使用実績がある。冷却水管では硬質塩ビライニング鋼管が若干(6・3%)使用されている。

 この傾向について井出氏は「衛生設備に比べてそれほど耐腐食性が必要ではなく、強度と耐火性を兼ね備えたSGPが長年多く採用されている。樹脂管では難しい大口径対応やステンレスに比べてコスト面でメリットがあることもポイント」と分析する。

 一方で最近の空調設備システムの傾向について、井出氏は「セントラル空調(中央式)の比率が近年減少傾向にあり、個別空調(パッケージ)が増加傾向にある」と指摘。大口径鋼管を使用するセントラル方式の空調システムは大型ビル建築や病院、工場などで多いが、中小規模ビルではあまり採用されないという。今後、個別空調物件が増えてきた場合のSGPの選定比率動向が注目される。

© 株式会社鉄鋼新聞社