金属行人(8月20日付)

 鉄鋼商社の幹部を退任し、今は依頼を受けた複数の企業の特別顧問や監査役を務めているA氏。久しぶりにお会いしたところ「すべての企業の業績が好調だよ。過去最高益か、それに近い水準」と。コンサルタント的な位置付けで報酬をもらっているというが、幹部と経営計画を練る合宿をしたり、アジアの工場に毎月視察に行ったり、精力的に働いている姿が印象的だった▼A氏と見方が一致したのが「足元の業績が良い企業は既に次の時代のことを考え、手を打ち始めている」ということ。鉄鋼・非鉄金属業界の中堅・中小企業でも、5年から10年先を見て設備投資や社内制度改革に踏み切る企業が増えている▼先日お会いした鉄鋼中堅流通トップは「補助金申請が認められたこともあり、初のロボット導入を決めた」と話し「人間が作業した方がきめ細かい仕事ができるかもしれないが、人手不足社会の到来を踏まえて導入を決めた」という▼作業の部分はロボット(RPA)に任せ、人間はそれをマネージし、より付加価値の高い仕事をするのがポイントだろう。それに合わせて、テレワークなど柔軟に働ける仕組みを構築できた企業に人材が集まる流れが既に動き始めており、優勝劣敗が加速しそうだ。

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