近藤鋼材グループ、富士工場で「鉄骨製作」開始 Mグレード取得、柱組立能力も強化

 静岡県の鋼材加工販売業大手、近藤鋼材(本社・沼津市、社長・近藤千秋氏)は、グループの近藤総業・富士工場で建築鉄骨製作に着手した。溶接・組立用設備を新たに導入し、H形鋼やコラムの一次加工から柱、梁加工までの一貫体制を整えた。

 これに先駆けて4月には「Mグレード」の鉄骨製作工場認定も取得。地場の中小案件向けを主体に加工能力を高めていく。年末をめどに柱大組立用ロボットの増設も決めた。

 富士工場(富士市中里)では、もともとH形鋼およびコラムの在庫と切断・開先・穴あけ(一次加工)を手掛けていたが、付加価値向上と拡販を目的に、鉄骨一貫製作に乗り出した。

 鉄骨柱大組立2アーク溶接ロボットシステム2セットと鉄骨コア・仕口連結溶接ロボットシステム1セット(いずれもコベルコ製)を新設。さらには構内に溶接・組立スペースを確保し、仕口と梁との溶接や小物鉄骨の製作も行っている。

 また、H形鋼とコラムの一次加工用設備も大幅に増強した。コラムの短尺用開先機と自動両側開先機(いずれもシンクス製)のほか、切断用バンドソー、H形鋼の多軸穴あけ加工機(いずれもアマダ製)を新設。また、切断ラインから開先加工ラインへの自動移送装置(伊藤工業製)も設置したほか、既存のバンドソーに自動測長機能を付加した。

 これら設備・システムは今年5月連休明けから6月中旬にかけて順次導入。現在、本格操業に入っている。年末には、鉄骨製作棟の既存バンドソーラインを撤去し、その跡地に柱大組立溶接ロボットを増設する予定だ。

 富士工場は、近藤鋼材グループが戦略的に力を注いでいる建材・鉄骨分野における「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)事業」のモデル拠点と位置づけている。ハード面では最新鋭の自動化設備を積極的に導入するとともに、ソフト面では特に3次元CAD能力の強化を推し進めている。

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