横浜ゴム、自動車熱交換器用アルミ管を開発 冷媒配管を一体化

 横浜ゴムはこのほど、カーエアコンシステムの冷却効率を向上させる熱交換器部材であるフィン付き二重アルミ管(IHX)を開発したと発表した。これまで2本必要だった冷媒配管を一体化し、冷却効率の向上を実現した。

 このアルミパイプを活用したカーエアコンシステムは、すでにジープ社が現行型ラングラーとコンパスに採用。横浜ゴムは北米を中心に販売を強化していく考えを示している。

 カーエアコンをめぐっては、現在広く使用されている冷媒の「HFC―134a」は、地球温暖化係数(グローバル・ワーミング・ポテンシャル=GMP)が1430と高いため、地球温暖化防止のため係数が低い「HFO―1234yf」への切り替えが進みつつある。一方で、「HFO―1234yf」は「HFC―134a」と比べて冷却効率が低下するため、採用するには熱交換効率の向上が課題となっていた。

 横浜ゴムがこのほど開発したIHXは、冷媒を通すためのアルミ管の断面構造を重層化した。従来は別々に構成されていた2本の冷媒配管の一部を一体化して二重管として構成したもので、高温冷媒と低温冷媒の温度差を利用して内部熱交換することでエアコンシステム全体の冷却効率の向上を実現した。

 また、一般的にカーエアコンシステムは、エンジンルーム内の狭い空間に配管されていることから、そのエンジンルーム内のレイアウトに応じて配管設計を行う必要がある。しかしながらIHXは、パイプ内部にフィンを配置することで曲げても冷媒の流路が潰れないため、従来のエアコンシステム配管と同様に自由な配管設計が可能となっている。

 タイヤを主力事業に据える横浜ゴムは、ホースの金具を製造するノウハウや設備を保有しており、アルミパイプを自社で製造できる。しかしながら熱交換器で幅広く使用されている多穴管(ハーモニカチューブ)は特許の関係から製造できなかったため、新しい形状の熱交換機材料の研究を進めていた。同社は今後もカーエアコン用冷媒規制への取り組みを進める方針で、北米を中心にIHXの販売を強化するとともに、採用拡大に向けて高性能使用の開発を推進していく。

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