トランプ氏陣営「真実は真実ではない」 ロシア疑惑聴取拒否でまたも珍言

By 太田清

米大統領候補当時のトランプ氏(右)とジュリアーニ元ニューヨーク市長=2016年9月、ワシントン(ロイター=共同)

 トランプ米政権のロシア疑惑で、トランプ大統領の盟友で弁護団長を務めるジュリアーニ元ニューヨーク市長が繰り出した“珍言”がメディアを騒がせている。ジュリアーニ氏は19日、チャック・トッド氏が司会するNBCテレビのインタビュー番組「ミート・ザ・プレス」に出演し、トランプ氏がモラー特別検察官の聴取を拒否する理由について「真実は真実でない」からだと主張した。米主要メディアが伝えた。 

 ジュリアーニ氏は「真実を話すんだから(特別検察官の前で)証言すべきだ、心配する必要はないとあなた方は言うかもしれないが、それはばかげたことだ。なぜならその真実は誰かの真実で、真実ではないからだ」と主張。トッド氏が「真実は真実です」と応じると、ジュリアーニ氏は「違う。真実は真実ではない」と応えた。 

 これにはトッド氏も驚き「真実は真実じゃないだって? これは悪いミーム(ネットの拡散対象)になりますよ」と警告したが、ジュリアーニ氏は発言を修正しなかった。ジュリアーニ氏ら弁護団は、トランプ氏が聴取に応じた場合、発言内容が他の関係者の発言と矛盾することを理由に偽証罪に問われることを恐れ、聴取に慎重姿勢見せているとされる。 

 これを受け、昨年5月、ロシア疑惑捜査を指揮していた最中にトランプ氏に解任されたコミー連邦捜査局(FBI)前長官はツイッターで「真実は存在するし、それこそが重要なのです。真実はいつもわが国の司法制度と政治活動の試金石だった。うそを言う人は責任を問われる」と反発した。 

 事実が事実と違うというトランプ陣営の主張は、トランプ大統領顧問のコンウェー氏が2017年1月の米大統領就任式の聴衆の数を巡って、実際にはホワイトハウスの主張より少なかった点を指摘され「(主張は)オールタナティブ・ファクツ(代替的事実)だった」と強弁したこともあった。発言は英オックスフォード大出版局が2016年に注目を集めた英単語として「客観的な事実や真実が重視されない時代」を意味する形容詞「ポスト真実」(POST―TRUTH)を選んだ直後だけだっただけに、真実をないがしろにするトランプ陣営の政治姿勢を示すものとして批判された。 

 ジュリアーニ氏は最近も、トランプ氏と不倫関係があったと主張するポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんについて「ポルノ女優だから信用できない」と述べるなど、トランプ氏同様に物議を醸す発言で注目されている。 (共同通信=太田清)

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