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仏料理究め、世界一に パリ三つ星店の肉部門シェフ吉冨力良さん(甲佐町出身)

©株式会社熊本日日新聞社

昨年の「パテ・アン・クルート」世界選手権で優勝した吉冨力良さん=甲佐町

 パリの三つ星レストラン「ランブロワジー」の肉部門シェフ、吉冨力良[ちから]さん(33)=甲佐町出身=が昨年末、フランスの伝統料理「パテ・アン・クルート」の世界選手権で優勝した。帰郷に合わせ、厳しい修業を重ねて手にした栄光や、古里に寄せる思いを聞いた。(魚住有佳)

 「これ以上できないところまでやった。結果がついてきた感じ」。強い目力で語る世界の舞台は、準優勝だった一昨年に続き2度目の挑戦。パテ・アン・クルートは、パイ生地に肉やフォアグラなどを詰めて焼き、冷ましてジュレを流した料理で、高度な技術が求められる。休憩時間や休日も試作や準備にあてた。

 フレンチの道に入ったのは19歳。調理師免許を取得し、福岡市の飲食店で働くも続かずに帰郷。通り掛かった熊本市のフランス料理店「赤煉瓦[あかれんが]」で職を得た。2年間の下積みを経て上京。腕を磨くため、あえて厳しい有名店の門をたたいた。待っていたのは実力が伴わず苦悩する現実。厳しさから逃げるように、2度店を変えた。

 「もうこの世界から抜けよう」。心身ともに疲れ果てた時に「本場を見ていない」ことに気付く。なけなしの貯金をはたき、23歳でフランスへ渡った。オレンジの街灯が照らすセーヌ川沿いの夜のパリ。美しい景色に感動し、「誰も自分を知らないこの地で、なぜか頑張ろうと思えた」。再スタートを決意し帰国。アルバイトで100万円をためた3カ月後、言葉も分からぬまま日本をたった。

 パリでの生活も苦しかった。給料がもらえない店もあり、引きこもった時期もある。ようやく二つ星店で働けたのは27歳。2年後に同系列店のシェフを任されたが、さらに高みを目指し、今の職場の「ランブロワジー」に自分を売り込んだ。

 頂点に立った世界選手権に、今年は審査員として出席する。「応援してくれたオーナーの思いに報いたかった」。次の目標はパリで自分の店を開くこと。資金面など課題はあるが、行動力で常に高い壁を乗り越えようとする姿勢は変わらない。

 地震の爪痕が残る古里甲佐町への思いも強い。地元のまちづくり団体と連携し、料理を通した地域貢献も考える。「自分が頑張ることで明るいニュースを届けたい。子どもたちにも大志を抱いてほしい」と語る。

(2018年8月20日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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