【U-12アジア選手権】侍U-12代表、パキスタンにコールド勝ちで3位 仁志監督「精一杯やってくれた」

3位決定戦でコールド勝ちし、3位に輝いたU-12日本代表【写真:Getty Images】

ヒットの質に変化「打てるボールは打ちにいくということを身につけてくれた」

 台湾・台北で開催されている「第10回 BFA U-12アジア選手権」は19日、大会最終日を迎え、日本は3位決定戦でパキスタンに10-0の5回コールド勝ちし、3位となった。決勝は開催地のチャイニーズ・タイペイが韓国を3-2で下し、2大会ぶり7度目の優勝を飾った。

 銅メダルをかけた一戦。日本は2回、先頭の4番・森山竜之輔が中安で出塁し、暴投で二塁に進むと、2死二塁から7番・宇野真仁朗の内野安打で生還。1点を先制した。3回まで1-0と競ったが、4回から攻撃が活発になった。2回に続き、先頭の4番・森山が遊撃内野安打で出塁すると、5番・稲福倫汰が左越えの二塁打でつなぎ、無死二、三塁とした。6番・矢竹開の二ゴロの間に三走・森山がホームイン。7番・宇野は空振り三振に倒れたが、2死二、三塁で8番・足立然の三ゴロを相手三塁手がエラー。その間に稲福がかえった。足立は盗塁を決めた後、2つの暴投で生還。この回、3点を加えた。

 5回には1番・専徒大和の右前打、2番・栗山大成の四球で無死一、二塁とすると、3番・西村大和は捕邪飛に倒れたが、4番・森山の三野選で加点。5番・稲福が中前適時打で2人がホームインすると、6番・矢竹が四球で歩き、7番・宇野が右前適時打と打線がつながった。8-0と点差を広げ、2死二、三塁で9番・芦硲晃太の中前適時打で2人がかえり、サヨナラコールドとなった。

 大会中、「ヒット数ほど、まともなヒットは出ていないと思う。記録的な結果ではなく、内容を求めるような選手になってほしい」と話していた仁志敏久監督。この日は8安打の当たりがよく、「今日はほとんど、ヒットの数だけヒットが出ていた。最初の頃のなかなか振らないという、そういう子たちではなくなったかなと思います。バットを振って、打って出る。積極的に振っていく、打てるボールは打ちにいくということを身につけてくれたかなと思います」と成長を感じ取った。

宇野がベストナイン外野手に「自分のプレーはしっかりできた」

 投げては、先発・西村が5回コールドの参考記録ながらノーヒットノーランを達成した。9奪三振と寄せつけず、「4回のベンチに帰って、まだノーヒットだって気づきました。うれしかったです」と西村。仁志敏久監督も「すごく、いいボールがいっていた」と目尻を下げた。捕手の栗山についても「よく考えてリードしていた。普段、変化球を投げない中でやっているので、投げている方も投げさせている方もよく工夫してやってくれたと思います」と称えた。

 2年前の前回大会で初優勝した日本。連覇を目指す戦いとなったが、予選ラウンド初戦でチャイニーズ・タイペイに敗れ、セミファイナル1戦目で韓国にも屈した。3位となったが「決勝でチャイニーズ・タイペイに勝つことを目標にしてきたので、それは残念ですけど、子供たちは精一杯やりました」と仁志監督。試合を重ねていくことで「すごく積極性が出てきた」と成長も感じ取った。

 表彰式では稲福が敢闘賞を受賞し、栗山は打点王と得点王の2冠に輝いた。ベストナイン外野手では宇野が選ばれた。宇野の兄・竜一朗は2014年の侍ジャパンU-12代表で仁志監督の1期生。この時は決勝でチャイニーズ・タイペイに敗れて準優勝だっただけに「お兄ちゃんを超えて優勝したかった」と宇野。それでも、ベストナインには「嬉しいです。自分のプレーはしっかりできたと思います」と喜んだ。

 5年連続で侍ジャパンU12代表を指揮した仁志監督。試合後のミーティングでは「みんなに出会えてうれしかったです。この大会で覚えたこと、感じたことをこれからの野球人生に生かしてください。ありがとうね」と選手たちにエールを送り、感謝した。銅メダルには悔しさをにじませた選手たちだが、日の丸を背負った日々は色褪せない。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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