200年前の塩倉をリノベーション
古さと新しさが共存
天井が高く開放的な空間、年月を経た味わい深さを感じさせる江戸期の塩蔵。
2017年に「中野ヴィレッジハウス」としてオープンし、カフェや各種教室、ボランティアセンターなどの地域の交流の場として再利用され、一年が経過しました。東近江(旧八日市市中野町)、東海道土山宿から中山道小幡までを結ぶ御代参街道沿いにあった古き良き建物。何とか活用できないかと考えた地域のボランティア団体が、一般社団法人を立ち上げ「東近江市空き家等の可能性を生み出すモデル事業」に応募、助成金でのリノベーションを実現しました。
工務店には、地元で長きにわたり天然素材を使った家づくりに定評のある木屋長工務店に相談しました。立派な梁や土壁など元の素材を活かす補修を行う一方で、新たに明かり取り用の窓を付け、床には栗の無垢材を張り、オリジナルデザインのドアを製作。アンティークの良さと現代の快適性を共存させた新しい形で蘇らせました。
地域活性の一助に
古い蔵や町屋をリノベーションした建物は話題性があり、この蔵も一般利用客のほかコミュニティスポットとしても機能し、現在では月に500人ほどが利用しています。地域の力を結集して見事に新しい命が吹き込まれた蔵は、誰もが「居心地がいい」と話す心の拠り所となりつつあります。
取材:2018年6月