エンヴィテック・エンジニアリング、ASR・廃家電などのリサイクル事業に参入へ

新特許を活用、3年後に処理プラント

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 エンヴィテック・エンジニアリング(本社・東京都港区、社長・村田幸三氏)はこのほど、ASR(自動車シュレッダーダスト)や廃家電、被覆銅線など処理困難な資源物のリサイクル事業に自ら参入する方針を固めた。現特許であるこれらの廃棄物から金属を分離し、残った有機系残渣に含まれる塩素分を低下させる技術を承継しつつ、加工の範囲を燃料や還元剤などに活用する方法にまで進化。同時に無機系残渣も有効利用できる技術を組み合わせ、新たな発明として本年3月に出願し、7月23日付で特許を取得した。新特許に基づきASRを月1千トン処理できるプラントを自ら3年後を目指して立ち上げる考え。中国による雑品や廃プラの輸入禁止で様々な資源の国内処理が課題となる中、課題解決につながるマテリアルリサイクル分野の処理技術の実証プラントとして注目される。

 同社が新たに取得した特許の名称は「シュレッダーダストからの金属分離並びに有機系可燃性残渣の燃料化と無機系残渣の有効利用及びその処理装置」。村田社長が33年間の業界経験を生かし、既存+自社製造品を組み合わせた機械装置と、それらにより作り出される二次製品を新特許の中の明細書の中で説明し、18に及ぶ請求項と共に出願した。図面を含め総ベージ数は61ページに上る。特許は出願した今年3月から20年間有効。同社は別途国際(PCT)特許も出願済み。

 同社は1998年8月に「シュレッダーダストの処理方法」として特許を取得している。「破砕くずの大きさ」や「軽量ダスト中の塩素分含有率を0・7%以下にする」という重要な請求項も新特許は承継している。新特許では軽量ダストからポリ塩化ビニールを分離する装置を自ら設計し、有機系残渣に残る可燃性塩素分のさらなる減少を可能にした。

 新特許に基づくプラントは大量にポリウレタンや廃プラを破砕する粉砕機やセンサー式選別装置、メカ式ブリケットプレス、炭化装置など多様な機械設備で構成される。ステンレス分離には、ロボットを投入する用意もある。IoT管理により、刃の摩耗や機械装置の異常を早期に発見できる集中制御・管理システムにする。工場内外の吸塵・防塵装置も工夫して世界で類のないほど綺麗な工場を目指す。

 ASRに含まれる軽量な「綿状ダスト」は火力発電所の石炭代用の燃料や微粉炭などの助燃剤に加工できるほか、高炉や電炉用の還元剤としても使用できる。最終製品の比重を2以上にすることで転炉用の消泡剤としても活用できる。他にも、新特許の明細書や請求項には記載していないマテリアルリサイクルも考案済で、加工品の市場調査も実施済み。

 日本ではASRが年間約60万トン発生するが、大半の有用物質が再利用されないままセメント会社で焼却処分されている。この量を有効利用するには、年間1万2千トン処理できる同社のプラントを47都道府県全てに1基ずつ設置すれば処理できる計算になる。

 また、廃家電は中国の輸入規制強化に加え、バーゼル法の改正もあって日本国内での処理が喫緊の課題に浮上している。被覆銅線に関しては東京都が環状7号線内側の電柱を無くし、地中化を進める案をまとめたことで、今後、大幅な発生増が見込まれる。当該プラントでは、ASR処理を行わない時間帯にSRや廃家電だけでなく、被覆銅線も処理加工できる設計になっている。

バイオガス発電も併設/福島県、候補地に

 同社では、この様な問題を、ノウハウを守り、特許を活用しながら解決するには「自らプラントを設置・稼働させるしかない」(村田社長)と判断した。現在、バイオガス発電との組み合わせが最適な福島県を有力な候補地として構想を進めている。同プラントをリサイクル機械装置の展示場としても活用し、福島県の雇用創出にもつなげていきたい考え。

軽量ダストの油化/独企業と共同研究

 ASRのメカ的砕処理とは別に、同社はASRの軽量有機系ダストの油化をドイツのRECENSO社と共同研究している。その結果、新特許を基にして作られる金属や可燃性塩素分の少ない有機系軽量ダストと、この油化プラントの相性が良いことが分かった。

 同社の新特許とRECENSO社の油化(CTC=特許取得済み)技術を組み合わせると、待ち望まれていた前述の4種類の産業廃棄物の全量をマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルで処理することが可能になる。

 なお、同社は廃プラの油化変換技術の変換速度を速めるために必要な触媒の他、同様の目的でバイオ部門の専門研究者や企業の参加を募集している。