ボーイフレンドと口論後自ら飛び込んだ?   クルーズ船転落、10時間後救出「奇跡の生還」

By 太田清

ノルウェージャン・スター=ウイキメディア・コモンズから

 クロアチアに面したアドリア海で、クルーズ船に乗っていた英国人女性乗客(46)が転落し、沿岸警備隊に約10時間後に救助される事件があり「奇跡の生還」と話題になったが、女性は転落したのではなく、ボーイフレンドとのけんか後、自ら海に飛び込んだ疑いが浮上していることが分かった。「デーリー・メール」など英大衆紙が21日、一斉に伝えた。 

 女性はスペイン在住で航空会社の元客室乗務員ケイ・ロングスタッフさんで、クロアチアのドブロブニクからイタリアのベネチアに向かっていたクルーズ船「ノルウェージャン・スター」から18日深夜に転落、クルーズ船が周辺を捜しが見つからず、クロアチア当局に救助要請。転落から約10時間後に海に浮いているのが見つかり救助された。容体は安定しているという。ロングスタッフさんは眠らないように歌を歌い続けていたと証言。「すばらしい人たちに助けてもらいました」とコメントしていた。 

 このままであれば、美談で終わるところだったが、その後、クルーズ船の乗客の一人が、ロングスタッフさんが同乗していたボーイフレンドと口論になった後、飛び込んだと証言。別の乗客は彼女が酔っていたと話した。乗員のダニエル・パンチさんはツイッターで「彼女は落ちたのでなく、飛び降りた。彼女はずっと男友達と口論していた」と指摘した。ロングスタッフさんが落ちたとされるデッキの手すりは1・8メートルの高さがあり、偶然転落することはあり得ないという。デッキ周辺には彼女のシャツなど所持品も残っていた。 

 警察当局はロングスタッフさんが飛び降りたとみて、ボーイフレンドから事情を聴くなどして捜査している。搬送された病院を退院したロングスタッフさんは、転落原因については何も語っていない。クルーズ船運営会社関係者は、船の遅延などで60万ドル(約6600万円)の費用がかかったと指摘している。 

 女性が長時間生存できた理由について、専門家は海水温が高かった上、波も静かだった点を挙げた上で、ロングスタッフさんが趣味としていたヨガも役立ったとの見方を示していた。 (共同通信=太田清)

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