MICE整備 是非問う 住民投票求め署名活動へ

 長崎市がJR長崎駅西側で計画しているMICE(コンベンション)施設を含む複合施設整備を巡り、整備凍結の是非を問う住民投票の実施に向け市民グループが9月に署名活動を始めることが21日、分かった。
 整備費は約216億円。市は交流人口拡大の起爆剤と位置付けている。ただ、市議会では市内外の同種の施設と競合することへの懸念などから、6月の定例会で整備費を認めたものの、賛否が渦巻いた。施設は2019年夏の着工、21年11月の開業を予定している。
 住民投票を目指す市民グループの代表者は、元長崎市議で社会福祉法人理事長の吉富博久氏(73)ら3人。吉富氏は「うまくいくか分からないMICE施設に多大な投資をしていいのか。福祉や教育にしわ寄せが来ないか」と指摘、住民の意思を問いたい考えだ。
 9月上旬に地方自治法に基づき所定の申請書を市へ提出、1カ月間の署名活動に入る。市内有権者の50分の1(約7200人)が賛同すれば、市は住民投票条例案を市議会に提出する。
 長崎市では16年以降、市公会堂の存続や、「小島養生所」遺構の完全保存などの是非を問うため住民投票を目指す市民の動きが相次いだ。いずれも田上富久市長は反対意見を示し、市議会も条例案を否決。住民投票は実現しなかった。

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