水道のない五島市の赤島 雨水利用 手作り給水設備

福井の学生ら「環境教育の拠点に」

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 福井工業大(福井県福井市)環境情報学部の教授と学生らが、水道施設がない五島市赤島で、雨水を集めて浄化・給水するシステムの整備に取り組んでいる。昨夏から夏休み中に泊まり込みで作業し2年目。来年には島内の簡易宿泊施設への給水が実現する見込みで、水の大切さなどを学ぶ環境教育の拠点としての活用も目指す。

 赤島は福江島の南東にある面積約0・5平方キロの二次離島で、近年の人口は十数人で推移。住民は雨水をタンクにためて風呂や洗濯などの生活用水を確保している。

 同大のシステムは、傾斜地に設置した波状の板で集めた雨水をタンクにため、浄水装置を通して利用する仕組み。空気中の汚れを含む降り始めの雨水は、タンクに入る前にコンピューター制御で除去するため、低コストで効率的に飲用レベルまで浄化できるという。赤島を先進事例として、他の島や東南アジアなどでの活用も目指す。

 福井工業大の笠井利浩教授(50)と学生らは昨夏、「雨畑(あめはた)」と名付けた雨の集水設備を設置。今年も23日までの約3週間、赤島に宿泊してタンクや配管の設置工事、雨の水質分析などに汗を流している。島内には車がなく、物資は全てリヤカーに載せたり肩に担いだりして人力で運ぶ。今後は島内の施設に雨水を引き、浄化装置を取り付けた上で、宿泊施設としての営業許可を取れる水質や水量にする考えだ。

 笠井教授は住民らとも協力し、赤島での宿泊体験を通して水資源の大切さを学ぶ環境教育プログラムの構築にも取り組む。今年3月には福井県の小学生を招いて体験学習を開催し、来春も実施する予定という。

 笠井教授は「生活用水を雨に依存する赤島の暮らしは、国内でも珍しい。この環境を生かした教育プログラムで島外から人を呼び、地域活性化や経済活動につながれば」と期待する。赤島町自治会の釣永公雄会長(60)は「島のプラスになる研究で、完成を楽しみにしている」と話した。

雨水を貯めるタンク(左奥)の設置や、配管を埋めるための溝を掘る作業などに取り組む学生ら=五島市、赤島
雨水を集めるため設置した「雨畑」と笠井教授