三つの顔持つ「甲子園」

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関学大と日大が対戦した、昨年の「甲子園ボウル」の試合後の風景=2017年12月17日

 高校野球の「夏の甲子園」は、大阪桐蔭(北大阪)が史上初となる2度目の春夏連覇を達成して閉幕した。東北勢として春夏を通じて初の優勝を目指した金足農(秋田)を13―2で破っての栄冠だ。

 兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場は三つの顔を持つ。プロ野球の阪神タイガースの本拠地、春夏の高校野球の舞台、そしてもう一つは毎年12月に開催されるアメリカンフットボールの大学日本一を争う「甲子園ボウル」のフィールドとしての顔だ。

 昨年の第72回大会は、日大が27年ぶりに優勝した。「フェニックス(不死鳥)」のニックネームを持つ強豪が、久しぶりに憧れの「聖地」で復活したシーズンだった。

 その日大が、今シーズンは甲子園ボウルに出場できない。5月の関学大との定期戦(東京)で「悪質な危険タックル」をして、関学大の選手にけがをさせたことで、関東学生連盟から来年3月まで公式試合の出場資格停止処分を科せられたからだ。

 目標を失った日大の4年生の大半は、部を離れるという。残るのは、主将を含めた一部の4年生だけだ。

 危険なタックルを指示したとされる前監督と前コーチはその事実を認めないまま、関東学連から除名となり、大学も懲戒解雇になったが、最近になって関東学連の決定に異議申し立てをしている。

 危険なタックルをしてしまった当該選手(3年生)は、自らの非を認めた記者会見でアメフットから身を引く意思を表明した。しかし、8月に入ってチームメートに謝罪し、許されるものならチームに戻りたいという意向を示している。

 処分が解除された場合、日大は来季、実質の2部リーグから再出発する。

 甲子園ボウルに出場するためには、ここで好成績を挙げてトップリーグに再昇格する必要がある。

 真夏の炎天下での連戦に対する批判。これも時代なのだろう。高校球児が持ち帰った「甲子園の土」が、インターネット上で売買され物議を醸すなど、「甲子園」を巡る話題は必ずしも爽やかなイメージばかりではない。

 しかし、やはり甲子園は特別な場所なのである。先日、自宅の物置を整理していたら、40年前に出場した甲子園ボウルで履いたシューズの底に、甲子園の枯れた芝生が絡みついていた。

 1985年に常緑になった外野の芝生が鮮やかな国内を代表する屋外球場には、いつの季節も高校球児や大学アメフット選手の心を揺さぶる不思議な魅力がある。(共同通信=宍戸博昭)