オンリーワン商品の「点光源型LED」事業、大同特殊鋼が拡大 能力増強へ5億円投資、産業ロボット向け需要増

年商倍増の20億円目指す

 大同特殊鋼(社長・石黒武氏)は、産業用ロボット向けなどで需要が増加しているオンリーワン商品のLED(点光源型)事業を大幅に拡大する。サーボモータなどの小型化・高性能化に伴い、長寿命で発光部が非常に小さい(50マイクロメートル程度)同社のLED製品ニーズが拡大していることに対応し、今期から「電子部材製品部」を立ち上げた。約5億円を投資し、製造能力増強プロジェクトも始動。早期に年商を現状の約2倍となる20億円に引き上げる計画だ。

 同社のLED製造・販売事業は、1980年代から基礎研究を開始。95年に市場投入し、育成事業の一つとして「ニッチ・ハイエンド」ユーザー向けの市場開拓・掘り起こしや品質向上などに取り組んできた。

 産業用ロボットの普及や各種製造装置の高機能化・コンパクト化が進む中で、信頼性の高い点光源型LEDのニーズが数年前から急速に拡大。大手サーボモータメーカーでの採用を機に、同社LED製品の認知度は一挙に高まった。年商は、量産化した2002年の1億円から、昨年度は9億円に拡大している。

 同社の点光源LEDは、回転検出や位置検出で高い精度が要求されるセンサ(高分解能なエンコーダや特殊な光電センサなど)向けなどに特化した製品。発光部が極めて小さいことから、センサ用スリットを通してできる光の像が非常にシャープで高分解能な点が特徴。

 また、発光層を多層膜にするなどの工夫を凝らすことにより「光量が長期間使用してもほとんど減少せず、長寿命。ロボットを毎日24時間稼働させても10年以上ノントラブル」(廣谷真澄電子部材製品部長)という製品の信頼性もニーズ拡大につながっている。

 このため今期から薄膜材料部門と統合し電子部材製品部を組織化。企画管理室・薄膜電子部材室・光デバイス室の3室構成で、42人体制とした。

 さらに既存の製造設備を量産化対応するための能力増強投資を実施する。19年度中の完成、稼働を計画しており、これにより製造能力は約2倍にアップする。

 廣谷部長は「製品の信頼性を高めるための技術開発を強化するなどで、次世代商品の開発を進め、用途拡大へ向けた取り組みも強化していきたい」と話している。

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