金属行人(8月23日付)

 高炉メーカーが輸入する原料炭の価格決定方法がインデックス(指標)連動方式に移行してから1年半が過ぎた。指標価格は導入当初、激しい値動きを見せていたが、ここ半年は落ち着いた動きに終始している▼原料炭に先立ち2010年度から連動型に移行した鉄鉱石もここ1、2年は1トン当たり50~70ドルの圏内で推移。乱高下の多かった鉄鋼原料価格は今、比較的安定した動きを続けている▼2000年代以降、鉄鉱石、原料炭が急騰した局面は主に二度あった。05年当時はいわゆる「需要けん引型」。中国の爆買いがきっかけとなった。11年当時は供給不安が主因。引き金は天候不順で、原料炭は17年にも同様の事態に見舞われた▼この間に進んだのがサプライヤーの供給能力拡大。天候要因など不測の事態さえなければ、供給は至って安定している。中国向けトレーダーによる思惑買いもかつてのようには目立たない▼価格が乱高下する局面での相対交渉は難しいとして導入された連動方式。売り手、買い手の双方に不満を残さないという点ではメリットがあった。ただ、インデックスの透明性など、導入当初に指摘された問題点は残ったままだ。原料炭の連動方式が2年目に入ったのを機に改めて検証する必要があるかもしれない。

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