三菱マテリアル、バイオガス事業会社を新設 20年にプラント稼働へ

 三菱マテリアルは22日、埼玉県富士見市、ふじみ野市、三芳町で構成する入間東部地区事務組合の敷地内に、食品廃棄物のバイオガス事業を目的とした「ニューエナジーふじみ野」を設立したと発表した。2018年度中に同事務組合との間で土地の賃貸借契約を締結し、19年度にプラント建設工事に着工、20年4月に営業運転を開始する計画。事業規模は食品廃棄物40トン/日。

 同事業では、民間事業としてバイオガスプラントを建設・運営する計画で、食品事業者から発生する食品廃棄物を対象として処理を行う。また、メタン発酵工程から得られるバイオガスによる発電を行うとともに、発生する汚泥などは同社セメント工場でリサイクル利用し、最終処分廃棄物が発生しない独自の事業スキームを想定。同プラントが稼働すれば、環境負荷の低減に大きく貢献するとともに、公共用地活用などの地方自治体との連携の観点からも新たな事業モデルにつながると期待されている。

 同社は、15年に環境省の補助事業として、埼玉県本庄市においてバイオガス化の実証試験を実施し、事業化に向けた検討を進めていた。今年4月には同事務組合の所有する浄化センター(し尿処理施設)の土地の一部を借り受け、バイオガス事業を実施することで同事務組合と協定を締結した。

 国内における廃棄物の最終処分場は、その残余年数が約15年と言われており、新設も難しいことから廃棄物の最終処分量削減による延命対策が課題となっている。そのうち、食品廃棄物は年間約1600万トン発生しており、2~3割は飼料や肥料としてリサイクルされているが、大半が焼却処分されている。食品廃棄物の発生は都市部に多く、飼料や肥料によるリサイクルの拡大は難しいため、食品廃棄物をメタン発酵させるバイオガス化は、電気、熱などのエネルギーとして有効利用できるリサイクル技術として焼却廃棄物の削減や地球温暖化防止などの観点から注目されている。

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