日産、中国で生産強化 規制緩和で販売100万台増狙う

 日産自動車(横浜市西区)は、中国での投資を加速させる。新工場を建設し既存拠点の生産体制を増強するなど、2022年までに中国での年間販売台数を100万台以上増やし、260万台に引き上げる方針だ。世界の自動車販売台数の約30%を占める最大市場の中国では、外資シェアトップの独フォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車などが生産増強を計画しており、競争はさらに激化しそうだ。

 17年に中国で販売された自動車は2887万台。中国は9年連続で世界一の自動車市場で、2位米国の約1723万台を大きく引き離し、3千万台の大台達成も視野に入る。

 日産は中国の自動車メーカー東風汽車との合弁会社を通じて中国事業を展開。17年の中国での販売台数は前年比12・2%増の152万台と過去最高で、日系メーカーの中で最多だった。日産は22年までの5年間で600億人民元(約1兆円)を投資し、17年実績の1・7倍の260万台の販売を目指す。

 これまで「稼ぎ頭」だった米国市場が頭打ちとなる中、他の自動車メーカーも中国市場に注目している。

 17年の中国での販売台数は日産、トヨタ、ホンダ、マツダがいずれも過去最高を記録した。日産は米国に迫る水準にまで伸び、マツダと三菱自は米国販売を上回った。

 外資系合弁ブランドではVWが過去最高の418万台、2位の米ゼネラル・モーターズ(GM)も過去最高で404万台を売り上げた。

 一方、中国政府は、乗用車分野への外国企業の出資規制を22年に撤廃すると発表。現在は現地合弁企業に対する50%までの出資しか認めていないが、規制を取り除く。電気自動車(EV)などの新エネルギー車は18年中に、商用車では20年に、それぞれ出資規制を撤廃する。

 自動車分野の規制緩和は米国や日本が強く求めてきたもので、日本や欧米の自動車メーカーにとって中国事業拡大のチャンスとなる一方、競争のさらなる激化につながるとの見方も出ている。

今春から中国で販売を始めた日産の大型スポーツタイプ多目的車(SUV)「テラ」。日産は中国での大型SUVとピックアップトラックの販売台数を22年度までに倍増させる計画だ

© 株式会社神奈川新聞社