対馬「混乗」便1ヵ月 搭乗率6割 目標届かず 博多発の誘客課題 不定期運航も一因

 国際線の旅客船に国内線の客も相乗りする国内初の「混乗」が、長崎県対馬市北部の比田勝港(同市上対馬町)と博多港(福岡市博多区)間で始まって23日で1カ月。JR九州高速船のジェットフォイル「ビートル」が6往復したが、搭乗率は58・3%(182人)と低迷気味だ。同社は搭乗率80%以上を目標に掲げており、利用客の増加が課題となっている。
 混乗便は韓国・釜山と博多を結んでいる「ビートル」(全191席)のうち、26席を国内線用に間仕切りし、比田勝-博多区間で国内線客も乗せ運航する。同区間をフェリーで結んでいる九州郵船が26席分を借り受ける「用船契約」を締結し、同社名義で運航することを条件に国が認可した。
 混乗便は比田勝-博多間を約2時間で結ぶ。月、水、木の週3便運航し、韓国からの客や帰省客が多い7月30日~8月16日の間は運航しなかった。混乗用の26席の搭乗率は、比田勝発が67・9%(106人)とまずまずだが、博多発は48・7%(76人)と低迷。運航関係者は「博多発便の誘客が課題」と指摘する。
 対馬市は5月の市議会全員協議会で、混乗便について「収支が赤字になった場合には廃止もあり得る」と国の方針を説明した。両社と包括協定を結んでいる同市は「不定期運航で便数が少ないため伸び悩んでいる点もある。今後、混乗便の増便と定期化をお願いしていきたい」としている。
 混乗便の利用促進に向け、JR九州高速船と九州郵船、JR九州は観光交流に関する連携協定を締結しており、今後、具体的な誘客策を詰める。JR九州高速船は「対馬島民は国境離島新法などで割引されているが、島民以外は割引がない。公的補助があればPRしやすくなるのでは」。九州郵船は「博多から比田勝に入った後に対馬を周遊し、厳原から博多に向かうコースが実現すれば誘客につながるだろう」としている。

比田勝港の岸壁に停泊中のジェットフォイル「ビートル」=対馬市上対馬町

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