病状説明 診療時間内に 長時間労働改善へ対策 長崎大学病院、佐世保市総合医療センター、長崎医療センター

 長崎大学病院(長崎市)、佐世保市総合医療センター(佐世保市)、国立病院機構長崎医療センター(大村市)の県内3病院は、連携して医師の長時間労働改善に向けた対策を本格化させる。手始めに患者や家族に対する医師の病状説明などを原則、平日の診療時間内に実施したいとして患者側に協力を求めることを今月決めた。院内用ポスターを共同製作し、10月をめどに3病院で一斉掲示する計画。
 3病院はいずれも、県内で重症、重篤な救急患者に広域対応する「3次救急医療」を担っている。長崎大学病院によると、病状説明は手術前などに不可欠だが、患者側が仕事などの都合で休日や夜間を希望するケースが大半。医師の時間外労働が増える要因となっている。3病院では緊急時などを除き、できる限り診療時間内に実施したい考え。
 長崎大学病院の増崎英明院長は「緊急の治療などに支障を来さないために理解をお願いしたい。3病院が率先することで、医療関係者や患者の共通認識にしていければ」と話す。
 3病院は4月、「医師の働き方改革」に関する座談会を発足。県医師会や県も参加して今月、2度目の会合を開き、ポスター掲示を決めた。今後も協議を続け、合意した対策について順次、3病院で実施していくことを検討する。
 医師の働き方改革を巡っては、全国の大規模病院などで長時間労働や残業代未払いの労働基準法違反があったとして、労働基準監督署の是正勧告が相次いでいる。一方で、医師には診療の求めを正当な理由なしで拒んではならないとする「応召義務」があり、政府は現在、医師への規制の在り方などを検討している。

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