[イベント映像演出の世界]Vol.23 自分たちが見たい音楽番組を~音楽番組「MUSIC SHARE」

txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部

ないなら作ればいい!DIY精神で始まった音楽番組

毎月第四火曜日に、Red Bull Music Studios Tokyoから生配信されている音楽番組「MUSIC SHARE」は、自分たちが見たい音楽番組がないなら、作ってしまおうというDIY精神に溢れる音楽番組。

番組の司会を担当されている本田みちよ氏(ミュージシャン / MUSIC SHARE代表)とスイッチング・配信技術を担当されている池内万作氏(俳優)のお二人は、番組を始めるまでは、スイッチャーや配信ソフトなどに触ったことがなかったという。そんな、お二人がレギュラー番組を作られるようになるまでの経緯を含めてお話を伺った。

池内万作氏(左)、本田みちよ氏(右)

――MUSIC SHAREについて教えてください。

本田氏:MUSIC SHAREは、私のTwitterでのつぶやきをきっかけに2012年5月から始まりました。スタート当初から「世界中の人に素晴らしい日本のミュージシャンを紹介しよう!」という意気込みで活動を継続しています。

現在は、東京だけでなく、全国にも広がって、各地で独自の番組を制作するようになり、音楽を愛するMUSIC SHAREのメンバーが、ミュージシャンと音楽好きのリスナーを繋げる架け橋となるためにスタッフとして参加し、番組が作られています。

番組を一緒につくるほかのメンバーは、お金で雇う「いちスタッフ」、あるいは「無料で使える都合のよいボランティア」などではなく、同じ理念の下に集まった仲間という意識で活動を行なっています。

V-60HDを使用して配信を行っている

――スタート当初は、どういった体制で番組制作をされていましたか?

本田氏:最初は、音楽配信サービスOTOTOYのスペースを貸していただけることになったので、機材も含めてお世話になっていました。番組内では、アーティストに生ライブをしてもらっていますが、一般的なオフィススペースで演奏までやってもらうには、色々と問題も出てきて、移転先を探すことになりました。

池内氏:それまでは、機材もあるものを使えていたのですが、場所も機材も用意しなければということで急いで機材を揃えることになりました。

取材時のゲストとして、覆面美女ユニットPEACH COREが出演

――そのときの機材選定は、どのように行ったのですか?

池内氏:番組制作も手伝ってくれていたPAの方から、「ローランドから出ているVR-3EXが使いやすそうだよ」というのを聞き、購入することにしました。そこから、V-1HD、V-60HDとローランド製品を使い続けています。

――使い続けているポイントは?

池内氏:同じメーカーの製品を使い続けることは、慣れているというのもあるんでしょうけど、直感的に操作できることが大きいですね。設定の変更など、やりたいことがスグ見つかるので、本番まで時間がない時にも迷わずに使えています。

配信直前まで二人で画面を見ながら調整を行う

――今回の現場でも、カメラの色補正にカラーコレクション機能を積極的に使用されていましたね。

池内氏:そうですね、どうしても色々なメーカーの機材を使用する必要があるので、カメラの色をスイッチャー側で調整できるのは便利でした。

V-60HDのスマートタリー機能も活用されている

――V-60HDのスマートタリー機能も活用されていましたね。

池内氏:それまでは、タリーシステムが無い中で撮影を行っていたのですがせっかく使えるならと、導入してみることにしました。今回の撮影にも参加してくれている合屋直樹カメラマンから「シンプルで使いやすく、セッティングも容易なシステムでした。スマホなので、トラブルあっても予備の機材も手配しやすい点も良いと思いました」という感想をもらいました。

細かな点では、スイッチャーと接続できなくなった際の表示や将来的な専用アプリの準備などリクエストはありますが、少ない機材で回している現場の中では、カメラマンとの意思疎通がしやすくなってよかったです。

――V-60HDを使うことで今後やっていきたいことは?

池内氏:そもそも使用するきっかけが、入力Ch数を増やしたい、SDIでの入力をしたいということだったので、その部分で自由度広く番組作りをしていきたいです。カメラを色々な位置に置くことができるので、トークからライブへの移動や、空間を自由に使ってもらうことも可能になりますね。カラーコレクションもそうですが、思いついた絵作りをスグに試せることが大事なので、その部分で色々とできることが楽しみです。

――番組を長く続ける中で印象に残ったことは、ありますか?

本田氏:それまで、J-POPのヒット曲しか聞いていなかったという番組視聴者から「こんなに面白い音楽があることを知れたことがうれしい」というコメントをもらえたのは素直に嬉しかったです。これからも、良質の音楽を多くの人に届け、ミュージシャンとリスナーの橋渡しをする番組を作りつづけていきたいと思っています。

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