自民党総裁選、鍵握る地方票 大票田の神奈川どう動く?

 自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)に向けた熱気が、神奈川でも高まっている。連続3選を狙う安倍晋三首相(党総裁)に石破茂元幹事長が挑む一騎打ちとなる公算が大きく、大票田の神奈川は“主戦場”となる見通し。県内でも安倍首相が優勢とみられる国会議員票はどう流れ、6年前の選挙戦で石破氏がトップとなった地方票はどう動くのか。日本のかじ取り役を選ぶ決戦は目前だ。

 自民の国会議員は県内で20人(衆院17人、参院3人)。国会議員は1人につき1票が与えられているが、各派閥の所属議員はそれぞれ一致団結して同じ候補を支援するのが基本だ。

 県内では河野太郎外相(衆院15区)や甘利明元経済再生担当相(同13区)、松本純元防災担当相(同1区)をはじめ、全体の半数を占める10人が麻生派に所属。麻生太郎副総理兼財務相は「安倍政権をど真ん中で支える」と明言しており、7月に横浜市で実施した研修会で結束を固めた。

 同様に「安倍支持」でまとまる細田、二階、岸田、石原の4派では、義家弘介氏(同16区)が首相出身派閥の細田派に所属。石破氏を支援する石破派と参院・竹下派はいない。

 ほか9人は無派閥だが、このうち坂井学総務副大臣(同5区)ら5人は、首相の右腕として影響力を持つ菅義偉官房長官(同2区)を慕って結集。研修会などでつながりを深めており、連続3選に向けた票固めを進めているとみられる。

 一方、現時点で動向が見通せないのが、県連会長の小此木八郎防災担当相(同3区)や国民的人気を誇る小泉進次郎党筆頭副幹事長(同11区)らだ。

 小此木氏は当選同期で親交が深い野田聖子総務相の「推薦人」に名を連ねるとの見方があるが、野田氏の出馬は厳しい情勢。小泉氏は前回選で石破氏に1票を投じており、今回も石破氏側は期待を寄せている。三原じゅん子氏(参院神奈川選挙区)も前回は石破氏の推薦人となった。

 総裁選で鍵を握るのが、従来の300票から国会議員票と同数の405票に重みを増した地方票(党員・党友票)の行方だ。昨年末時点の党員数は全国で106万8560人。神奈川は東京に次いで多い約6万2千人で「勝敗への影響は大きい」とされるが、実際の有権者数は告示直前に判明する。

 2012年の前回選は神奈川に10票配分(有権者数3万6047人)され、5票を獲得した石破氏がトップ。安倍氏が4票、石原伸晃氏が1票を獲得し、町村信孝、林芳正の両氏はゼロだった。投票率は63・75%で、投票資格が18歳以上に引き下げられた今回も関心度はあるとみられる。

 党員の投票動向は、必ずしも国会議員と合致しない。関係者によると、各派閥の国会議員から指示を受けた地方議員らが電話や戸別訪問で支持拡大を図るが、「党員個人の好き嫌いで投票している」ケースも少なくないという。

 告示後は討論会や街頭演説などで列島全体に選挙ムードが広がり、神奈川でも論戦が繰り広げられる見通し。県連の土井隆典幹事長は「総裁選は総理大臣を選ぶ選挙。憲法や経済、少子高齢対策などで議論を戦わせ、国民が納得できる形で決めてほしい」と盛り上がりに期待を寄せた。

県内の自民議員

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