昨年の“レギュラー”は何人残った? 規定打席で見る各チームの動向【セ編】

中日・福田永将【写真:荒川祐史】

レギュラー陣がほとんど変わらない広島

「規定打席」は、打率や長打率、出塁率など、打者の「率」を評価する基準となる数だ。現在はNPB、MLBともに「試合数×3.1」となっている(マイナーリーグは異なる)。

 端的に言えば、規定打席到達者は「レギュラー選手」ということになろう。規定打席以上の選手の数、そして成績は、チーム状態と密接に関係がある。セ・リーグも今年と昨年の各球団の規定打席以上の選手の成績を比較しよう。

セ・リーグ 2018年は8月23日時点、2017年は最終成績。位は打率順位。

〇広島
2018年5人
鈴木誠也 91試304打104安24本76点4盗 率.342・2位
丸佳浩 90試302打97安28本69点8盗 率.321・6位
松山竜平 95試320打100安10本60点0盗 率.313・12位
田中広輔 108試438打113安9本49点18盗 率.258・25位
菊池涼介 108試437打106安11本44点8盗 率.243・27位

2017年5人
安部友裕 123試413打128安4本49点17盗 率.310・4位
丸佳浩 143試556打171安23本92点13盗 率.308・5位
鈴木誠也 115試437打131安26本90点16盗 率.300・7位
田中広輔 143試565打164安8本60点35盗 率.290・11位
菊池涼介 138試565打153安14本56点8盗 率.271・16位

 昨年と同じ5人。昨年初めて規定打席に到達した安部に代わって、今年は松山が初の規定打席入り。その他の顔ぶれは変わらず。しかし売り物の「タナ・キク・マル」のうち、田中と菊池が成績を落としているのが気がかりだ。

〇阪神
2018年3人
糸井嘉男 93試328打103安15本60点16盗 率.314・10位
福留孝介 93試319打90安12本56点0盗 率.282・17位
糸原健斗 104試380打107安1本26点4盗 率.282・18位

2017年5人
鳥谷敬 143試488打143安4本41点8盗 率.293・8位
糸井嘉男 114試427打124安17本62点21盗 率.29・10位
上本博紀 125試409打116安9本38点16盗 率.284・14位
福留孝介 127試441打116安18本79点1盗 率.263・19位
中谷将大 133試411打99安20本61点2盗 率.241・27位

 昨年は生え抜きでは2006年の浜中治以来の20本塁打を打った中谷や上本が規定打席に到達した。規定打席入りは5人だったが、今年は3人だけ。若手の糸原が一本立ちしたのは収穫だが、他の2人はベテランの移籍組。昨年は若手が飛躍の年となったが今季は厳しい状況が続いている。

DeNAの規定打席到達者はわずかに2人

〇DeNA
2018年2人
宮崎敏郎 109試423打135安22本57点0盗 率.319・8位
筒香嘉智 106試381打114安28本70点0盗 率.299・14位

2017年6人
宮崎敏郎 128試480打155安15本62点0盗 率.323・1位
ロペス 142試569打171安30本105点0盗 率.301・6位
筒香嘉智 139試503打143安28本94点1盗 率.284・13位
桑原将志 143試598打161安13本52点10盗 率.269・17位
倉本寿彦 143試507打133安2本50点3盗 率.262・20位
梶谷隆幸 137試511打124安21本60点21盗 率.243・26位

 2017年の6人から2人に減った。ロペス、梶谷が故障で戦線離脱。ラミレス監督は打線を組むのに苦慮している。しかしロペスが復帰し、新外国人のソトも好調。ようやく追撃する体制が整いつつある。

〇巨人
2018年5人
坂本勇人 82試326打107安13本56点8盗 率.328・4位
岡本和真 115試440打132安23本72点2盗 率.300・13位
マギー 104試389打113安17本66点0盗 率.290・16位
長野久義 98試318打89安11本44点3盗 率.280・20位
亀井善行 100試352打96安12本45点4盗 率.273・23位

2017年5人
マギー 139試523打165安18本77点4盗 率.315・2位
坂本勇人 142試539打157安15本61点14盗 率.291・9位
阿部慎之助 129試455打119安15本76点0盗 率.262・21位
長野久義 134試463打121安16本46点6盗 率.261・22位
小林誠司 138試378打78安2本27点2盗 率.206・28位

 何といっても岡本和真の4番定着。阿部慎之助との新旧交代がうまく進んだ。新鋭では吉川尚輝の活躍も目立ったが、8月1日に一塁にヘッドスライディングをして左手骨折。8月23日で規定打席を外れた。チームリーダーの坂本勇人も7月16日に左脇腹痛で戦線離脱。2軍で実戦復帰しているが、規定打席をキープできるだろうか。

中日は福田、高橋らがレギュラーに定着し大幅増

〇中日
2018年7人
平田良介 109試374打128安6本44点8盗 率.342・1位
ビシエド 106試396打132安19本78点1盗 率.333・3位
アルモンテ 102試385打115安11本55点1盗 率.299・15位
大島洋平 111試468打130安5本42点17盗 率.278・21位
福田永将 103試345打95安9本50点0盗 率.275・22位
高橋周平 99試327打85安7本45点0盗 率.260・24位
京田陽太 113試453打105安3本34点17盗 率.232・28位

2017年3人
大島洋平 119試476打149安3本29点23盗 率.313・3位
ゲレーロ 130試469打131安35本86点1盗 率.279・15位
京田陽太 141試564打149安4本36点23盗 率.264・18位

 昨年の本塁打王、ゲレーロが巨人に移籍し、打線の弱体化が懸念されたが、今季は平田がサイクル安打を打つなど大活躍。ビシエドも復活し、新外国人アルモンテも活躍。期待されながら伸び悩んでいた福田、高橋もレギュラーに定着し、最多の7人が規定打席入り。打線は前年より大幅に充実した。

〇ヤクルト
2018年6人
青木宣親 99試376打121安6本46点2盗 率.322・5位
山田哲人 105試393打126安29本74点28盗 率.321・7位
雄平 90試307打97安6本43点5盗 率.316・9位
坂口智隆 104試379打119安2本25点7盗 率.314・11位
バレンティン 106試384打108安32本107点1盗 率.281・19位
西浦直亨 102試350打90安8本43点1盗 率.257・26位

2017年4人
坂口智隆 136試535打155安4本38点4盗 率.290・12位
バレンティン 125試445打113安32本80点0盗 率.254・23位
山田哲人 143試526打130安24本78点14盗 率.247・24位
中村悠平 127試419打102安4本34点2盗 率.243・25位

 2017年はチームワーストの96敗を記録したヤクルトだが、今季は強力打線が復活。何といっても青木宣親の復帰が大きい。山田哲人も3度目のトリプルスリーを視界にとらえ、昨年からさらに充実した坂口、久々に規定打席に到達した雄平と、3割打者が4人。さらにバレンティンは現時点で本塁打、打点の2冠王。一気に大型化した。

 こうしてみると、レギュラーの固定化がいかに重要かがわかる。終盤戦、故障で戦線離脱している主力級が復帰して規定打席に到達すれば、この勢力図もまた変化するだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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