ロの不人気首相どこへ、不在続く 「スポーツでけが」も負傷程度言及せず

By 太田清

中国の習近平国家主席と握手するロシアのメドベージェフ首相(左)=2017年11月1日、北京の釣魚台迎賓館(共同)

 2008年から12年までロシア大統領を務め、プーチン首相(当時)とともに「双頭体制」の一角を担ったメドベージェフ首相(52)が閣議や議会公聴会などの欠席を続けていることが分かった。ロシアのニュースサイト「ガゼータ・ルー」などが24日までに伝えた。 

 政府報道部は近い将来、首相の公務の予定はないとした上で、「スポーツをしていた際に負ったけが」が原因と説明。けがの程度や、どのようなスポーツかについては言及しなかった。首相は過去には、バドミントンやサイクリングが趣味との報道もあった。 

 首相が最後に公の場に姿を現したのは、ノボシビルスク州知事代理と会談した今月14日。以降、2回の定例閣議を欠席したほか、現在ロシア内政で最大の懸案となっている、年金受給年齢繰り上げ問題を討議する21日の下院公聴会にも現れなかった。 

 メドベージェフ氏は大統領時代の10年、ロシアの国家元首として初めて北方領土の国後島を訪問、日ロ関係を極端に冷え込ませた。12年、プーチン氏の大統領再登板に伴い首相に就任。18年のプーチン氏再選後には、欧米の制裁などで低迷する経済情勢を受け支持率が低下したメドベージェフ氏は再任されないのではとの臆測も強かったが、プーチン氏は再任を決定。

 昨年3月には、野党指導者ナワリヌイ氏がメドベージェフ氏の巨額収賄を告発しモスクワなどロシアの主要都市で汚職抗議デモが行われ数万人が参加した。今年6月14日に、政府はサッカーのワールドカップ(W杯)開幕に合わせるように、付加価値税増税と年金受給年齢引き上げを発表。国民の間でさらに批判が高まっていた。 (共同通信=太田清)

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