核依存脱却「米は手本に」 長崎大でオバマ氏元側近が講演

 オバマ米政権で核政策担当の大統領特別補佐官だったジョン・ウォルフスタール氏が24日、長崎市文教町の長崎大で「“核なき世界”へどう進むか」と題し講演した。「核兵器は安全保障を根底から揺るがす」と批判、米国が核依存脱却の「モデル(手本)」となり、軍縮や核廃絶を主導すべきとの認識を示した。
 核兵器廃絶長崎連絡協議会主催。ウォルフスタール氏はオバマ氏が「核兵器のない世界」を訴えた2009年のプラハ演説や16年のオバマ氏の広島訪問などに携わった。現在は非核の世界を目指すシンクタンク「グローバルゼロ」の核危機グループ座長を務める。
 講演では「核依存は危険だ」とした上で、米国は核に依存しなくても軍事力が強固なため「他国に比べ核兵器への依存は強くない」と指摘。米国が核依存から脱却すれば世界が軍縮や核廃絶に向かうとした。
 参加した80人との質疑応答もあり、トランプ政権の軍事戦略について「核軍縮や核廃絶が外に追いやられている」と批判した。
 講演前に長崎市役所に田上富久市長を訪問、オバマ氏の広島訪問について「日米の安全保障において役割を果たし、かつて戦争の敵対関係にあった国同士が和解するモデルを示した」と述べた。

核依存の危険性について語るウォルフスタール氏=長崎大

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