【平成の長崎】いそに〝春の使者〟 アオサ採りにぎわう 野母崎 平成2(1990)年

 西彼野母崎町のいそはこのところ口開け(解禁)になった〝春の使者〟アオサ採りの人たちでにぎわっている。
 「アオサは寒で立つ」といわれる。今年の生育具合は平年並みとか。立春も過ぎ岩場の潮だまりもぬるみ始めた。潮の引いた後の2、3時間、岩に密生したアオサを忙しく摘みとる近所の主婦やお年寄りの手や容器は鮮やかな緑に染まってしまいそう。
 採ったアオサはよく水洗いして水気を切り、そのまま市場に出荷するほか、自家用として吸い物やみそ汁に浮かせたり、つくだ煮に加工して季節の香りを楽しんだり…。
 乾燥したものは保存が利くことから、漁協が集荷し仲買人に一括して売りさばかれる。4月まで続くアオサ採りは〝趣味と実益〟を兼ねた地区の人たちの楽しみの一つになっている。(平成2年2月6日付け長崎新聞より)
 

潮が引いた岩場で、密生した緑鮮やかなアオサを摘む人たち=西彼野母崎町野母合崎(ごんさき)海岸

© 株式会社長崎新聞社