やっと統合承認

 「安心感の方が強い」「期待感を抱く」。きのうの紙面にあった県民の皆さんの声…ではない。2年半前、2016年2月の紙面にこうした声が並んでいた▲十八銀行(長崎市)が、ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)と経営統合し、FFG傘下の親和銀行(佐世保市)と合併する方針が示された、その時の紙面である。驚きも不安の声もあったが、合併に寄せる安心感、期待感もまた、膨らんでいた▲人口が減り、金融市場は縮むというのに、十八、親和の県内2大銀行がずっと競っていては共倒れになりかねない。合併で経済基盤は安定へと向かうだろう。そんな安心や期待があった。ところが▲その先が実に長かった。2行が合併すれば県内の中小企業の借入先がほぼ限られ、独占状態になる、と公正取引委員会が「待った」をかけ、異例の長い審査が続いた▲1千億円ほどの貸出債権を他の金融機関に譲り渡し、融資シェアを下げることでやっと審査を終え、統合計画が認められた。きのうの紙面には、ライバル2行の合併を不安視する声が上がり、一方で安心感も-とある▲2年半前と見まがうようだが、統合に向けた経営陣や経済界の決意はあの頃の比ではあるまい。道は険しかったが、「地域経済の再生」の懸かるこの先の道もまた、平らかではない。(徹)

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