聴覚障害者向けトリマー講座、継続に苦心 受講生少なく

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預かった犬を丁寧にトリミングする衣川さん(手前)=守山市水保町・びわこみみの里

 日本で唯一、聴覚障害者を対象にトリマー養成を行う守山市水保町の施設「びわこみみの里」。手話で技術を学べる貴重な場だが、受講生集めに苦労している。聴覚障害者に限っているため、対象者の絶対数が少ないのが原因で、現在は1人が学ぶだけだ。みみの里は「特徴ある取り組みを継続したい」と希望者を募っている。

 みみの里は滋賀県聴覚障害者福祉協会が2007年に開設した授産施設。特色を出すため「犬」にちなんだ事業に力を入れており、ドッグカフェの運営や聴導犬の育成にも取り組む。トリマー養成も開所当初から続けている。

 ドッグサロンと同じように客から犬を預かり、シャンプーやカットを実践しながら学び、2~3年でジャパンケネルクラブ公認のトリマーライセンス取得を目指す。これまで11人が卒業し、トリマーC級に7人、同B級に2人、愛犬飼育管理士に9人が合格した。

 ただ、受講生集めは苦労が続く。最も多い時で9人いた実習生は衣川輝さん(21)=京都市=だけになった。衣川さんは「将来は動物愛護センターで働き、保護された犬をトリミングしてきれいにし、新しい飼い主を探す手伝いをしたい」と夢を描く。他の養成施設も見学したが「何を話しているのか分からず不安だった。ここは安心」。講師の小笠原千鶴さん(51)も「聞こえなくても観察力はすごい。犬の変化を見逃さない」と衣川さんの腕を認める。

 現在、みみの里では月約80頭を預かって2人でトリミングしている。有料で、施設の売り上げにも貢献している。衣川さんが卒業して実習生がいなくなると、講師1人で全て行うことになる。養成施設としての位置付けも揺らぐため、中村正所長(75)は「日本唯一の施設。実習生を確保して何とか続けたい」と語る。

 卒業生で現在トリマーとして働いているのは2人。重労働や命を預かる責任感などから就職しなかった人もいた。小笠原さんは「大変な仕事だがやりがいはある。やる気のある人に来てほしい」と語る。受講無料。教科書や道具の費用は各自負担。居住地は問わない。みみの里ファクス077(585)7144。