連日のメダル

 42・195キロというマラソンの距離は、人間が足でたどるには相当な道のり。選手にどれほどの体力、気力が必要か分かるからこそ、応援のテレビ画面から目が離せない▲熱戦が続くジャカルタ・アジア大会。おとといの陸上男子マラソンで井上大仁(ひろと)選手(MHPS)が優勝すれば、きのうは女子マラソンで野上恵子選手(十八銀行)が銀メダルを獲得。本県勢の連日の快挙に、喜びが広がる▲井上選手は終盤、バーレーンの選手と激しい競り合いを制した。決着を付けたのは、トラック最後の直線でのスパート。40キロを越えて走り続けたその先で、さらにスピードを上げるとは▲「スパート勝負になれば勝つ自信はあった」という。最後の力は「ないところから引きずり出した」とか。ぎりぎりの場面で最高の力を出せるよう、心身両面でしっかり準備してきたのだろう▲その井上選手から、野上選手は刺激を受けた。30キロの給水地点で「あとは気持ちです」と声を掛けられ、奮い立って2位を死守。何度も引退を考えたが諦めなかったという32歳のベテランの粘りに、拍手を送りたくなる▲2人がメダルを勝ち取ったのは気温30度前後の暑さの中。2年後の東京五輪ではそれ以上の猛暑が予想される。その大舞台でも、ぜひ活躍を-と、県民として期待を膨らませずにはいられない。(泉)

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