核廃絶 各国の自発的意志必要 核禁条約には否定的見解

オバマ前米大統領特別補佐官 ジョン・ウォルフスタール氏

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 -オバマ氏が2009年4月にプラハ演説で提唱した「核兵器なき世界」は、いまだ実現されていない。
 オバマ氏は「達成するには多くの年数がかかる」と話した。だが米国は、具体的なステップを先導する道義的な責任がある。なぜなら核兵器を開発し、世界で唯一実戦で利用した国だからだ。オバマ前政権下で、(米国や同盟国などの安全保障を確保しつつ、核兵器の数と役割を低減させるとした)新核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」や、(米ロ間で核弾頭削減などを取り決めた)新START、(イランの核開発を制限する見返りに米欧が制裁を解除する)イラン核合意などがあった。これらを正しい方向で続け、実行していくべきだ。だが、核兵器を開発できる国が多くあり、核兵器を減らすことが困難な時代になっている。トランプ米政権も(前政権の方針と)違う方向だ。

 -昨年採択された核禁条約の発効は、核廃絶を実現する手段として効果的だと思うか。
 思わない。法律的な規範をつくり、核兵器を保有することが法律に反していることを示すためにつくられたと理解している。だが、国際的な取り決めで、全ての国が受け入れなければならないという状況をつくっても、条約で取り決めているだけでは、核廃絶に向けた効果はそれほど表れないと思う。核兵器を削減するためには、自発的な意志が必要だ。

 -どうすれば核廃絶は実現できるか。
 核兵器を手放した南アフリカは私が話したことを証明している。南アフリカの場合、核兵器は安全保障にならないと政治的な決断をした。私たちは「核兵器を持つべきではない」と、南アに対して言い続けた時もあったが、彼らは核兵器を保持し続けた。南アが、白人政権によるアパルトヘイト(人種隔離)で国際的孤立に置かれていたからだ。その孤立からの脱却を目指し、周囲の脅威がなくなると、国を守る手段として核兵器を持つことは必要なくなった。私たちはこのスタイルに従うべきだ。

 -オバマ氏は広島訪問で、原爆投下に対する謝罪の言葉がなかった。
 世論で、大統領が謝罪すべきという声もあるようだが、ホワイトハウスでは謝罪について議論されていない。個人的に思うことだが、日本政府は真珠湾攻撃による米国の苦しみを、はっきりと自覚すべきだ。そして米政府も広島と長崎の原爆の苦しみを、はっきりと自覚すべきだ。

 〈オバマ米政権下で核政策担当の大統領特別補佐官を務めたジョン・ウォルフスタール氏が長崎市内で長崎新聞社のインタビューに応じた。核廃絶を先導する米国の「道義的責任」を指摘。核兵器禁止条約の効果には否定的見解を示しながら「核削減には各国の自発的な意志が必要」と強調した。同氏は24日に長崎大で開かれた核兵器廃絶を巡る講演会のため来崎した〉

インタビューに答えるウォルフスタール氏=長崎市文教町、長崎大