【侍U-18代表】確かな眼力を持つ名将の采配に注目 アジア2連覇を狙う侍指揮官

侍ジャパンU-18代表の正遊撃手候補として注目される小園海斗、根尾昂、中川卓也(左から)【写真:編集部】

報徳学園で監督として春11回、夏7回の甲子園出場を果たした永田裕治氏

「第12回 BFA U18アジア選手権」は9月3日から宮崎で行われる。主将を務める中川卓也内野手(大阪桐蔭)、小園海斗内野手(報徳学園)、吉田輝星投手(金足農)らがアジア2連覇を狙う。今大会から侍ジャパンU-18代表を率いるのは元報徳学園監督の永田裕治監督だ。今夏の甲子園を沸かせた豪華メンバーにも注目だが、名将の采配にも注目が集まる。

 永田裕治氏は報徳学園の3年時、1981年夏の甲子園で全国制覇を達成。1994年に母校の監督に就任し2002年春の選抜で優勝に導くなど監督として春11回、夏7回、甲子園に出場している。2017年春の選手権を最後に勇退後は全国を飛び回り、日本代表候補の球児を自らの目でチェックし、今大会の精鋭18人を選んだ。

 吉田輝星、柿木連(大阪桐蔭)ら投手陣の起用法にも注目が集まるが、もう一つの注目は「遊撃手」だ。今大会で内野手に選出されたのは根尾昂(大阪桐蔭)、小園海斗、奈良間大己(常葉大菊川)、日置航(日大三)、中川卓也の5名。自チームでは全員(中川は根尾が投手の時に遊撃)が遊撃を守っていた選手たちだ。

 一見、遊撃手ばかりを選出したようにも見えるが、ユーティリティプレーヤーとしての素質を兼ね備えたメンバーばかりだ。根尾は言うまでもなく投手、内野手、外野手をこなし、中川も内野ならどこでも守れる。奈良間も中学時代は捕手をこなすなど器用さを兼ね備えている。シート打撃、練習試合で遊撃手のポジションには教え子でもある小園が入ったが、様々なことを想定し二の矢、三の矢を準備している。

国際大会で打線は水物「点数を取って最少失点で逃げ切りたい」

 報徳学園監督時代にも一つのポジションにこだわることなく、個人、チームに生きるコンバートを数々行ってきた。昨年のドラフトで巨人に2位指名された岸田行倫は、2年秋に遊撃から捕手にコンバートし、ドラフト指名を受ける選手へ成長。“野球センス”を見極める能力は確かなものを持っている。

 選手の動きだけでなく私生活の姿、性格などもチェックポイントの一つ。「高校野球が全てではない。その後の社会に通用する人間に育てることが監督の務め」。永田氏の指導方針は昔から一貫して変わりない。強力なリーダーシップを誇る中川を主将に任命したのも夏の甲子園、代表合宿と全ての姿を見て判断した結果だ。

 永田監督は26日に行われた会見で「攻撃では走力を兼ね備えている。投手力を強化した。内野を守れる選手を入れると9人。点数を取って最少失点で逃げ切りたい」と、守り勝つ野球を掲げていた。国際大会では打線は水物。中川、藤原恭大(大阪桐蔭)、根尾が並ぶクリーンアップは強力だが相手のミスを逃さず、ワンチャンスをものにする“勝つ野球”を見せてくれるはずだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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