平戸の宝 次世代へ 世界遺産登録記念シンポ

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録を記念するシンポジウム「平戸の宝を未来へ」(平戸市主催)が26日、同市岩の上町の平戸文化センターであり、市民約200人が春日集落など市内にある構成資産の意義や継承について考えた。
 シンポでは、嵯峨美術大(京都市)の真板昭夫名誉教授(69)が「私たちの暮らしと世界遺産」と題し講演。真板さんは春日の棚田の景観が人の知恵、汗の集積によって形成されたとして「約450年間、信仰を守り自然と共生する生活から生まれた、重層的な歴史の集積だ」と述べた。
 春日を生きた文化遺産として次世代に継承するための方策として「宝を維持していくための枠組みをつくり情報を共有することが大切。春日を含む市全体を活性化させる戦略を市民が一体となり考えるべき」と会場に呼び掛けた。
 7人が登壇したパネルディスカッションで、集落のまちづくり団体「安満の里 春日講」の寺田一男会長(67)は登録後、前年と比べ来訪者が約10倍に増えているとして「住民のやる気、地域の活性化にもつながっている」と報告。一方でガイドの育成や、高齢化が進むかくれキリシタン信仰の継承など課題も挙げられた。

世界文化遺産の意義や継承について考えたシンポ=平戸文化センター

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