金属行人(8月26日付)

 使用済みの車載用リチウムイオン二次電池(LIB)のリサイクルに向けた取り組みが本格化しそうだ。三菱マテリアルが先週、日本磁力選鉱と共同でLIBからニッケルやコバルトなどを回収する技術の開発を進め、早ければ20年春をめどに事業化すると発表した▼昨年には住友金属鉱山が廃LIBなどから銅とニッケルを商業的に回収する技術を確立し、ニッケルを再び二次電池の正極材とする「電池to電池」のリサイクルを実現。JX金属も廃LIBからニッケル、コバルト、マンガン、リチウムの全ての金属を回収できる技術の確立にめどをつけている▼世界的に電動車へのシフトが進めば電池に使われる金属需要も急激に拡大する。資源の安定調達が課題になるとともに、大量に発生する廃電池を安全かつ適正に処理することも課題になるはずだ▼今後は電池の省コバルト化が進むとみられる中でリサイクルコストの低減が重要な課題になる。そのためには技術開発とともに、重量物である廃電池を効率的かつ一定量以上を安定的に集められる社会的なシステムを確立することも不可欠だ。廃電池が大量に発生するのはまだ先だが、それをどうリサイクルするかについて日本全体で議論を進めておく必要があるかもしれない。

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