最終段階の治療 話し合っておこう 医師ら演劇で公開講座

 長崎市と近郊の開業医らでつくるNPO法人「長崎在宅Dr.ネット」(藤井卓理事長)は25日、長崎市茂里町の長崎ブリックホールで、寸劇形式の市民公開講座を開いた。
 テーマは、人生の最終段階の治療などを患者と家族、医師らが繰り返し話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)。在宅医療に携わる医師らで結成した「劇団そいでよかさ」が出演した。
 劇の前半では「延命治療はしないで」と希望した自宅療養中の患者が、その思いを周囲と共有できないまま呼吸が止まり、家族が慌てて119番通報。事件かどうか調べるため刑事もやってきて、パニックになるという展開。後半では別の患者が登場。家族やかかりつけ医らと何度も話し合って希望を共有し、家族に見守られながら息を引き取った。住職が2家族の例を振り返り「人の思いはさまざま。個人の思いを尊重することが大切」と語った。
 患者の夫役で出演した医師の出口雅浩さん(56)は「ACPは年齢に関係なく、だれにとっても大切。元気なうちに考え、それを伝えてほしい」。親子で訪れた長崎市の医療事務、川端桜さん(38)は「親はまだ元気だが、何があってもおかしくない年齢。しっかり話し合い、共有することが重要だと分かった」と話した。

熱演する劇団そいでよかさメンバー=長崎ブリックホール

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