物質・材料研究機構、熱電材料普及に道 鉄・アルミなどでの新組成を発見

 物質・材料研究機構は28日、低温の熱を電気エネルギーに変える熱電材料を、鉄とアルミ、シリコンというありふれた元素の組み合わせで作り出すことに成功したと発表した。コストなどがネックとなっていた熱電材料の普及に道を開く成果になる。あらゆるものがネットにつながるIoT機器用の小型自立電源として実用化を目指す考えだ。

 エネルギー・環境材料研究拠点の熱電材料グループに所属する高際良樹氏の成果。

 従来の熱電材料はテルルなど毒性が高く、希少な元素を使う。耐久性などにも課題がありほとんど普及していない。

 高際氏は、機械学習を用いて新たな材料組成を探索。鉄とアルミ、シリコンという汎用元素のみを使った熱電材料を見出した。いずれも容易に入手でき、毒性もない。コストは10分の1に減らせるという。

 直径10ミリの試作品を用いた実験で1度以上のわずかな温度差があれば発電できることを実証し、高温や長期使用に対する耐久性を持つことも確かめた。

 現在、実用化に向けてアイシン精機と共同研究を進めており、19年度にモジュール化する計画。長期使用に耐える電極接合技術の確立が課題になる。

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