【新日鉄住金グループ企業の〝今〟39】〈日鉄住金テクノロジー〉試験・分析のプロ集団、技術開発力強化を後押し

 日鉄住金テクノロジーは鉄づくりを支える試験・分析のプロ集団だ。新日鉄住金の製鉄所や研究所内に事業拠点を置き、鉄鋼生産や品質保証、技術開発のための試験・分析機能を分担している。これまでは新日鉄住金本体向けが中心だったが、グループ各社との連携強化にも乗り出しており、「グループ全体の品質保証体制、技術開発力の強化を後押しする」(岩田勝吉社長)方針だ。

 設立は2013年4月。製鉄所の品質保証部門や研究所の研究支援部門などをルーツとする日鉄テクノリサーチ、住友金属テクノロジーなど7社が段階的に合併し発足した。

 今年で発足から丸5年。岩田社長は「社員の前向きな取り組みのおかげで、作業効率向上やコスト削減、親会社収益への貢献など統合効果が着実にあがっている」と自己評価する。

 この5年間では事業再編も実施した。鉄道エンジニアリング事業を切り離した一方、新日鉄住金の八幡製鉄所小倉地区の品質保証業務、名古屋製鉄所と小倉地区の試験片加工事業、旧日鉄住金マネジメントの省エネ診断事業などを継承。新日鉄住金グループで試験・分析を担う機能分担会社として役割がより明確になった格好だ。

 主要事業は(1)鉄鋼製品などの品質保証(2)研究開発支援(3)水質、大気、土壌などの環境測定・分析(4)非破壊検査を中心とした計測および計測装置の製造・販売(5)省エネ診断――の5つ。

 今後の事業展開について岩田社長は「人事処遇制度や業務システムの統一もほぼ完了し、合併会社として総合力をもう一段追求する段階にきた。試験・分析の独自技術や最先端設備、固有のノウハウを生かし、より幅広い顧客ニーズに対応する」と話す。5事業とも新日鉄住金向けをベースとしつつ、新日鉄住金グループ各社やグループ以外の外販向けにも注力する考えだ。

 7月には本社に「ソリューション推進統括部」を新設。ニーズに応じて最適なサービスをワンストップで提供するための戦略などを企画・立案する。グループ会社向けでは、昨年、新日鉄住金グループに加わった日新製鋼との連携強化も大きなテーマになる。

 日本のものづくり産業全体で品質保証の重要性が再認識される中、新日鉄住金は品質保証体制のさらなる強化に力を入れている。これを後押しするのも日鉄住金テクノロジーの使命だ。

 鉄鋼製品の特性などを評価する試験・分析装置の自動化など設備投資を積極的に進める。新日鉄住金本体だけでなくグループ各社の品質保証体制強化も支援する。

 人材育成も急務だ。「世代交代は今後数年が正念場」(岩田社長)。JK(自主管理)活動を通じたベテランと若手の交流促進などで技術・技能を着実につなぐ。

 現在の売上高は約375億円(18年3月期)。新日鉄住金向けが7割を占めるほか、同社グループ企業、自動車やエネルギー関連産業などの鉄鋼需要家、研究機関などその他が各1割という構成だ。いずれの分野も堅調が続く見込みで、現行中期経営計画(18~20年度)では20年度までに売上高400億円へ拡大を目指す。(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

企業概要

 ▽本社=東京都千代田区

 ▽資本金=1億円(新日鉄住金の出資比率100%)

 ▽社長=岩田勝吉氏

 ▽売上高=375億5千万円(18年3月期)

 ▽主力事業=製鉄関連(品質保証支援、研究開発支援)、環境測定、非破壊検査、省エネ診断

 ▽従業員=3690人(18年7月時点)

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